つまり自作の海賊版をみずから再産して

8月17日、水木しげる著『姑娘』(講談社文庫) を読む。本書は漫画家、水木しげるが貸本時代に残した軍記もの4篇に主題作『姑娘』を加えた編集版。但し初期作品はどれも画が荒く不鮮明。同様の荒っぽい仕上がりの貸本時代の全集が地元の図書館にもあるのだが。…

ともすればこれが見納めという主旨も

7月22日、鹿嶋勤労文化会館にて岡林信康弾き語りライブ2017を観る。フォークの神様こと岡林信康は3年前より弾き語りツアーを始めた。きっかけはデビューの頃からの付き合いだったカメラマンの突然死だとか。自身にまだやり残した仕事はあるかと問い質した後…

今観ても充分スマートでカッコいいと

5月24日、『RCサクセション AT BUDOHKAN』 (ユニバーサル ミュージック)を観る。本作はRCサクセションの第一回目となる日本武道館公演の模様を収めたもの。81年12月24日のこのステージは翌年フジテレビで『愛しあってるかい? RC at 武道館』という一時間の…

70年代初めに百花繚乱の盛り上がりを

5月20日、隔週刊『円谷プロ特撮ドラマDVDコレクションvol.22「ミラーマン」第16話 人形怪獣キンダーを追え!』(ディアゴスティーニ) を観る。監督、東絛昭平。70年代初めに百花繚乱の盛り上がりを見せた特撮ヒーロードラマの中でも特別な存在だった気がするミ…

本作ではこの田中眞紀子ギャグが定番

5月14日、町田康 著『猫のよびごえ』(講談社文庫) を読む。04年から刊行されてきた著者の猫エッセイも13年に終了しこの度文庫化されたこれが本当の最終巻。前作『猫とあほんだら』のあとがき始めに「伊豆半島で毎日、猫と遊んで暮らしている。というときわめ…

業田良家はやはり強情張りの職人肌か

5月5日、業田良家著 『男の操』 (小学館) を読む。本作は13年に『機械仕掛けの愛』で手塚治虫文化賞を受賞した著者が03年より『ビッグコミック』に連載し06年に単行本化されたものを再編集した改訂版58年生まれの著者、業田良家は23歳で漫画家デビューし、25…

その辺の大友チルドレンより一皮も

2月25日、うめざわしゅん 著『うめざわしゅん作品集成 パンティストッキングのような空の下』(太田出版)を読む。″不世出の天才、うめざわしゅん。2001年〜 2015年にわたる傑作読み切りを9編収録″と記された帯文には漫画界のみならずカンパニー松尾、末井昭、…

その辺の大友チルドレンより一皮も

2月25日、うめざわしゅん 著『うめざわしゅん作品集成 パンティストッキングのような空の下』(太田出版)を読む。″不世出の天才、うめざわしゅん。2001年〜 2015年にわたる傑作読み切りを9編収録″と記された帯文には漫画界のみならずカンパニー松尾、末井昭、…

そもそも勝ち馬には乗らない気質の

2月18日、三田完 著『不機嫌な作詞家 阿久悠日記を読む』(文藝春秋 ) を読む。本書は作詞家、阿久悠をアシストしてきたオフィス・トゥ・ワン所属の作家、三田完による阿久悠日記の解読書。累計七千万枚のレコード売り上げを持つ作詞家の日記ゆえに本書はその…

なんちゃあない話を悪く思わないで

2月10日、安倍夜郎 著『なんちゃあない話 』を読む。本書は人気コミック 『深夜食堂』の作者、安倍夜郎が故郷である高知県、幡多郡のフリーペーパーに連載していた東京発地域密着エッセイ。41歳でデビューしてヒット作をものにした現在、ともに壮年期に差し…

本作はいまおかしんじ版あまちゃん

1 月31日、上野オークラにて『感じるつちんこ ヤリ放題!』(OP映画)を観る。監督、いまおかしんじ。本作は今やピンク映画の巨匠になりつつあるいまおかしんじの最新作。ヒロイン園子役に涼川絢音を迎えて不可思議な下町人情グランギニョールを展開する。主人…

本作がセールス的に急上昇していたら

11月19日、小沢健二『球体の奏でる音楽』(東芝EMI)を聴く。佐々木敦の『ニッポンの音楽』の後半「渋谷系の物語」の章を読み、96年に小沢健二が同じ東芝EMIの浅川マキのバックを務める渋谷毅と川端民生をゲストにジャズアレンジのミニアルバムを発表…

もっと言えば後半の後半、もっと

11月17日、佐々木敦 著『ニッポンの音楽』(講談社現代新書)を読む。本書は70年代からの日本のポピュラー音楽史を十年区切りに振り返り物語化したもの。物語とは『成りあがり』や『GLAY物語』のように独自の視点で物語るニッポンの音楽の寓話のこと。だ…

エビス本は出せばそこそこ売れる昨今

11月10日、蛭子能収 著『パチンコ 蛭子能収初期漫画傑作選』(角川書店)を読む。本書は漫画家、蛭子能収のデビュー作『パチンコ』を含むガロ時代、つまり原稿料の出ないマニアックな漫画誌にみずから持ち込んで描かせてもらっていた頃の入魂の初期作品を集…

もう飛躍しない、ジャンプしない

11月8日、渋谷TOEIにて『ぼくのおじさん』を観る。監督、山下敦弘。前作『オーバー・フェンス』をテアトル新宿で観た際、原作小説のファンなのか50代、60代の壮年層も多かった客席をこれまでの漫才調ではなく人物の佇まいや会話の間合いで笑わせている山…

貧者と貧者が尻の毛までも毟り合う

9月3日、平田オリザ 著『下り坂をそろそろと下りる』(講談社現代新書)を読む。本書は前作『わかりあえないことから―コミュニケーション能力とは何か』のヒットを受けて同じ新書シリーズから出たもの。帯文には“あたらしい「この国のかたち」”とタイトルよ…

プライベート盤のゆるさを全面に

8月24日、『悲しき夏バテ』布谷文夫(ユニバーサルミュージック)を聴く。本作は73年8月、大瀧詠一プロデュースにより発表されたブルース歌手、布谷文夫のソロデビュー作。内ジャケには布谷文夫とレコーディングメンバーらが草野球に興じるスナップ写真が並…

夏目漱石の言わずと知れた原作小説を

8月10日、大和田秀樹 著『坊っちゃん』(日本文芸社)を読む。“日本文学史上、最も有名かつ多く読まれた名作を漫画界随一の鬼才が漫訳したらこうなった!”と帯文にある。夏目漱石の言わずと知れた原作小説を「漫訳」した大和田秀樹なる著者には『機動戦士ガ…

そうしたいびつな笑いも本書には

8月7日、蛭子能収 著『ヘタウマな愛』(新潮文庫)を読む。本書は02年8月 KKベストセラーズより刊行されたものを文庫化した所謂タレント本。有名人が夫や妻との闘病記や哀悼の思いを綴った著作の類を蛭子さんも出していたのを私は知らなかった。が、蛭子さ…

もう何もするなと、只じっとしている

6月4日、平田オリザ 著『わかりあえないことから』(講談社 現代新書)を読む。本書は劇作家であり演出家でもある平田オリザが近年大阪大学コミュニケーションデザイン・センター客員教授となり様々な現場でコミュニケーション教育に携わってきた体験から“コ…

が、今になってあの世にもサウンドが

5月17日、BABYMETAL のアルバム『METAL RESISTANCE』 (トイズファクトリー)を聴く。FMラジオにて全米40位内に入る『スキヤキ』以来の快挙と紹介された本作に少なからず反応した私はその足でCDショップに走った。私がそれ以前ショップに走ったのは椎名林檎の…

人生に弱ってる時にフトらくがきして

5月10日、おくやまゆか 著『たましい いっぱい』(株式会社 KADOKAWA)を読む。本書は月刊コミックビームに掲載された著者のマンガを初めて一冊にまとめた「破格の処女単行本」。マンガ以外にも絵本作家、挿絵画家として活動する著者は本書で第19回文化庁メ…

それでもけだし名曲は名曲である

5月5日、なぎら健壱『ベストアルバム 中毒』(95年 FOR LIFE)を聴く。本作はフォークシンガーのなぎら健壱が73年から95年までに残した音源の中からお笑い寄りの企画盤を中心に編集したもの。“再発発起人”として高田文夫がクレジットされている。そもそも高…

この珍事を見逃さない編集者の眼力に

3月1日、山田太一 著『S先生の言葉』(河出文庫)を読む。本書は脚本家の山田太一がこれまで新聞雑誌等に発表してきたエッセイの中から企画・編集をフリーの編集者に委ねたベストセレクションのこれが第一弾。まえがきには「私はいま八十一歳で、一応おだや…

この珍事を見逃さない編集者の眼力に

3月1日、山田太一 著『S先生の言葉』(河出文庫)を読む。本書は脚本家の山田太一がこれまで新聞雑誌等に発表してきたエッセイの中から企画・編集をフリーの編集者に委ねたベストセレクションのこれが第一弾。まえがきには「私はいま八十一歳で、一応おだや…

そのアットホームな様子にほっとする

2月9日、新宿K's cinemaにて『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』(15年 シネフィルム)を観る。監督、遠藤ミチロウ。本作は11年3月初めに遠藤ミチロウの還暦記念ライブツアーを収録したDVDの中のミニドキュメントとして制作開始された…

へなちょこでいいのだと言いたい

2月7日、つげ忠男 著『成り行き』(ワイズ出版)を読む。本作の著者、つげ忠男はつげ義春の実弟にあたる。兄、つげ義春のようにブームに巻き込まれることもなく断続的に描き続け固定ファンを抱えている。本作は56年以上にもなるその活動の集大成になるかもし…

伊藤克信が全篇いい味出し過ぎの

1月25日、新宿ピカデリーにて『の・ようなもの のようなもの』(16年松竹)を観る。監督、杉山泰一。本作は11年暮れに急死した映画監督、森田芳光の出世作『の・ようなもの』を弟子にあたる杉山監督が同じく森田組出身の堀川正樹の脚本でリメイクしたもの。3…

言わば日本の「青春」は明治生まれで

12月14日、金子光晴 著 『現代日本のエッセイ 絶望の精神史』(講談社文芸文庫)を読む。本書は1965年、昭和40年に明治百年、戦後二十年と呼ばれひと段落した時代的気分のなかで詩人、金子光晴が七十年の人生と世相を照らし合わせ振り返ったエッセイ集。当初…

その不思議はもう少しそのままにして

12月20日、町あかり『もぐらたたきのような人』(ビクターエンタテインメント)を聴く。今年の夏に新宿のディスクユニオン昭和歌謡専門店にてアルバム『ア、町あかり』のフライヤーを入手して以来その存在はずっと気がかりではあった。町あかりというその新…