ジュラクよォ〜んとねじれるんである

 「69」とか「下妻物語」とか今から十数年後に観返したらいかにもあの時代の映画だとシミジミするに違いない。デフレな映画だと。CGを多用した一見ゴージャスだがやるせなく安仕掛けな画面。やり逃げギャグ。楽曲使用料が払えないがゆえのやっつけ洋楽カバー。アメコミタッチのアニメをはさみ。樹木希林をはさみ。時代だなあといつかシミジミするに違いない。が、その頃には雨雲が去るようにやるせなく安仕掛けな「あの時代」と情況は打って変わっているのだろうか。もっとやるせなくもっと安仕掛けになってたりして。プロデューサーは皆インド人だったりして。マサラ松竹とか。「日本映画なんてジャンルがまだあると思ってる連中こそがおかしいんであって」というかつての(まだバブル期の)大島渚の発言を思い出してしまう。邦画と純粋に呼べるのは学生サークルの作品まで。後は皆外資。それか風俗。それか公営ギャンブルの上がりでしか商業映画は世に出なくなってたり。パチンコ屋のCFでも見せられたかのようなオモチャ箱ひっくり返した感のギリギリ邦画は当分作られ続けそう。で、どうでしょう「キューティーハニー」。実はもう観てきました。思いのほか楽しめました。サトエリの痛々しさとタフネスの同居っぷりがハニー役にぴったりで良い。市川実和子の女警部とのカラミも良い。80年代の女の子映画みたいなうすらレズビアンな女の友情劇に久々反応させられた。で、そういうの喜ぶ中年期真っ盛りのオタクだ皆。ポップな快作と言うより下世話な点取り作といった感。もっと早く完成公開するはずだった本作が足かけ四年もの難産になった理由もその辺にあるような。社会現象的メガヒットよりオタクな中年層に観客を設定して手堅く当てろと。もしその通りだとすれば本作は大成功ではなかろうか。渡辺岳夫の音楽だけでOKなのだが正直言って。パッパッパヤッパがインサートされていればもうそれだけで反応してしまう。甘酸っぱいものが胸にこみ上げてしまう。こみ上げてどうなるものでもないがこの歳で。しかしハニーのロンリーな素顔もう少しクローズアップして欲しかった気も。「夜霧のハニー」は中ジメじゃなくてエンディングでしょうと。菊池エリの「巨乳」みたいにシンミリ終わってこそでしょうと。キラキラとムナシー正にこの時代のセクシーアイドル然とした佐藤江梨子の「あの時代」をもっと克明にプリントした次作に期待か。劇場映画からテレビ版に逆進化というのは。深夜15分枠などは。スポンサーはパチンコ屋か消費者ローンで。なぜか吹き替えで。