あの日に毎週帰りたいんである

 フツーの会社の中でもパタリと辞めていった女子社員がその時点から実は上司と不倫関係にあったりすることはよくある。同様に急に仕事をしなくなったセクシータレントというのも実は特定の愛人の元におさまってしまったと考えられなくもない。そうして急に仕事をしなくなったセクシータレントがまたフラッと顔を見せセクシー業に勤め始めたとしたら。その場合は愛人業の方を既にクビになりレモンの絞りカスのような体でおめおめと表舞台にはいずり現れたのだなと考えられなくもない。
 ええい今更誰がそんなレモンの絞りカスのような、そんな捨てられた子犬のような、ペットボトルに半分残った得体の知れぬ自家製健康茶のような、そんな腐れ女を相手にするかいと思うが。案外世間の男達はそんなブルース感ただよう復活セクシータレントに弱いらしいのだ。ここ数年の熟女ブームもクロスしてか色々あった絞りカスボディの方がその辺の若ピチ娘よりどれだけ魅力かとわななく世間の男達の気持ちが私にはよくわからないのだが。ロリコンだからわからねえんだろと言われると耳が痛い気もするが最近はそっちの方も余り活気がありませんで。
 唯一ピクリときたのはやはりというかローティーン向けのラジオの深夜放送。中学生諸君らの体の悩みに専門医がやさしく答えるというあの番組である。その昔々に結城モイラがやっていたラジオ番組と内容的にはほぼ同じと思える。そろそろ最後までいってしまいそうな男友達の局部にあせものようなブツブツを見つけてしまい病気なんじゃないかと不安がる女の子にウン、それは全く心配ないのようなどとソフトなトーンでアドバイスするパーソナリティ。二十余年が過ぎても中学生が喜ぶこの種のネタ作りのセオリーは不動のようである。
 いつの間にかリスナー世代から仕掛け人世代になってしまった私であるが。正直言って未だに仕掛けられています。フツーの女子中学生の口から発育中の体の悩みなんかそうポロポロ聞き出せる訳がないだろ。何かしら裏があるんだよ裏が、と自分でも思います。そう思ってもついつい魅せられてしまうんである。
 しかしそうしてついつい魅せられて中学生化した私は現役の女子中学生とはお天気の話くらいしかコミュニケートできないんである。あの日に帰ったつもりでたのきんトリオがどうとかひょうきん族がどうとか口走っても彼女達には大正デモクラシーの話でもしてると思われるのが関の山なんである。仕方ないので80年代ネタはお母さんの方と。で、娘さんの方と四角い林檎でもと谷崎化する私も年頃。