同級生などと身の毛もよだつのである

 渋谷のホテル街を昼間から一人うろちょろし、昼間から半笑いでホテルに駆け込む親子ほどの年齢差のカップル客に何組もすれ違う。父親ほどの年齢差の男とそんな所に行くのはいかにもスレッカラシな女番長だけかと思えば今はまったく違う。本当に普通のしなびた若いOLが主だ。
 普通のしなびた若いOLってどんなOLだよと聞かれれば、少し昔なら向井亜紀とか富田靖子とか藤田朋子とか、何かガンバルゾっていう、負けないーっていう、エイエイエイ!っていうそんな感じの。そんな感じの職場の花たちも今じゃしなびて父親ほどの上司と渋谷のラブホでエイエイエイ!ですよ、もう。もうどうでもいいんだろうなァ。そんなことにしみじみ感心しつつ、その日は渋谷シネヴェーラにて『エロ将軍と二十一人の愛妾』を観る。
 女番長シリーズで有名な池玲子が女ねずみ小僧役で出演している。その池玲子のメイクにも70年代初頭にはこんな感じのホステスがいたなァとまたしみじみと。70年代初頭には小学校低学年だった私がなぜその時代のホステスの容姿を覚えているのか。それは母親がその頃クラブ勤めをしていて、当時母子家庭であった私の家にホステス仲間がちょくちょく遊びに来ていたからだ。
 彼女たちから私は小学校三年生にして、セックス・ドラッグ・ロックンロールの何たるかを体で学んだ。それはウソだけど。それは今作ったけど。今思い出すとかなり子供の前でもあけすけなエロ話をしていた。母親がまだよそのお母さんに比べて若くて女バリバリであることは小学生には恥かしいというより嬉しいものだった。
 で、何の話だ。池玲子か。池玲子タイプの昔のホステスの話か。いや、そうじゃなくて70年代には小学生の子持ちホステスは珍しくなかったと。で、今のその年代の女性に子持ちホステスはあまりいないと。その年代の女性の多くはそこそこの会社に腰を落ち着けて結婚もし出産もしながらなんとなくしなびちゃってもうどうでもよくなっちゃって父親ほどの上司と昼間からそのォ。まァこのォ、と田中角栄の物マネを今度その年代の女性と談笑する際に仕込んでおこうかと練習。「古ゥー」か何か言われるんだろう。そういう貴女は、まっ、いいか。
 映画の帰りに有名なカリーの聖地、渋谷ムルギーを探すが見つからず、カリーの店カイラスなるスタンド風の小さな店にするりと初参。なかなかいけるし、お冷に角氷が入ってないのが良い。考えたらその方が衛生的ではないか。動物性油脂より食品添加物より、いつ凍らせたかわかりゃしない角氷の方が気色悪いと思う感覚はまともだと思うの不倫上等のエコな妻たちへ。