実はできたてのノスタルジーである

9月10日、狭山稲荷山公園にて『ハイドパーク・ミュージック・フェスティバル2006』を観る。去年同様家主のエイチからの招待である。トップバッターの「東京ローカル・ホンク」からまァチンタラ観ることに。が当日のハイドパークは野外フェスを丸一日チンタラ観るには日差しが強過ぎた。始めはウマイ、ウマイと飲んでいた缶ビール、缶チューハイも炎天下で急激にアルコールが抜けていく時のあのお釣りとも呼べそうな吐き気、ムカつきへとなりゆき気分もローに。
 湯川トーベンの娘である「湯川潮音」みたいなアンニュイなタイプの女のコも本来嫌いじゃないのに今は体調が受けつけずぐったり横になってしまったり。家主に「人気は野音クラスよ」と聞いて初めて知った「bonobos」は若者層に大ウケだったが。私は後続の「Double Famous」の方が楽しめた。何となく盛り上がり方の中にお義理が見え隠れするのがこういった躍らせてナンボといった姿勢のバンドの特徴だが。bonobosよりDouble Famousの盛り上がり方の方がお義理感は少なく見えた。お義理がないということはついつい躍りだしてしまったけれど別に応援してる訳じゃないけどねということで彼等側にとっては複雑かも。けれどメンバーからは勿論顔と名前を覚えて帰れとは言わないし勝手に躍って楽しめば的なパーティーバンドの潔さが感じられた。
 さて、今回のハイドパークの目玉は再々結成のフォーク・クルセダーズ改メ、「ポーク・クルセダーズ」である。メンバーは加藤和彦坂崎幸之助、足柄金太と公表されている。足柄金太なる人物が北山修はしだのりひこの芸名であればそれはそれでいい。しかし仮に足柄金太がアルフィーからのもう一人の助っ人だったりしたら。そんなどイージーな人選が今日の観客に通用するだろうかと不安になった。が、やはり足柄金太の正体は北山修だった。本業の医師会内が緊張状態にありライブの告知に「名前出せなくてゴメンネ」ということだった。後になってその日は歌手に戻って舞台に立っていた件が医師会にもれるとかなりマズイらしいのだがその割に真っ赤なブレザーにサングラスで精一杯キメていたり。
 はっきり言って現役ミュージシャンの加藤、坂崎の二人を食う程の役者っぷりで会場を沸かせまくる。フォーク系の野外イベントで緑の上に車座になり半泣きで手拍子しながら『あの素晴らしい愛をもう一度』を大合唱している自分。そんな自分というものを10代、20代の頃はまったく想像できなかった。だがそれは敗北ではないとウルルと思いし夜。