大中帰りの青剃り学生のあの頃である

6月21日、秋葉原のDVDショップになんとなく闖入。AV女優とおぼしき若い女性がメイド風のコスチュームで店頭キャンペーンを行っていた。演歌歌手がCDショップの店先でカラオケ持参で新曲をキャンペーンしたりするのと同様に出演作品のモニター画像の前でよろしくお願いしますなどと客寄せしている。
モニターの中で当人が全裸で凄いことをしているがこれをその場で彼女から手売りしてもらうというのはどうも。たとえ以前からのファンだったとしても気おくれするのではないかと思っているとそれらしいふやけた青年らが一人、また一人と列をつくり始めた。やはりアキバという場所ではこの位シュールでも何でもないボクらの日常なのかしらとも。誰に迷惑かけてるわけでもないのかもしれないがやはりウスら寒くもあり店の奥へと。前から気になっていた70年代、80年代の成人映画の名作DVDコーナーがあるのだ。
ここで今日は新東宝作品の『菊池エリ 巨乳』を入手。86年製作、監督、細山智明。本作を私はほぼ公開当時に池袋文芸座地下のオールナイトイベントで観た。監督の細山智明と出演者の池島ゆたかも舞台に登場した。上映時間がかなり遅く私もまだ充分若かったので相当なナチュラルハイ状態でもあった。その為か私は本作を飾り気のないパーティーポルノ映画の秀作と一人勝手に高く評価していた。20年たった今再観しても同じ感動を味わうことになるのだろうか。それもなんだか堂々めぐりで情けない話のような。ま、とにかく改めて観直してみたが。
半分は当時の感動が戻ったようでもあった。主演の菊池エリはもちろん橋本杏子、秋山未来、中野D児に杉本健一そして中村京子と当時のエロ本業界のスターたちが続々と登場しておそらく普段からの飲み仲間である細山監督のために一肌脱いでいるその熱気が伝わってくるのだ。当時はキッチュで何てカッコイイんだと思えた細山演出も今では何て恥かしいことを大上段にと引いてしまう場面も数々ある。が同様の当時はニューウェーブ今観ると学芸会的なコケ演出は80年代の森田芳光にも周防正行にもあると思う。『菊池エリ 巨乳』はそうした巨匠の若気のいたりでは全然ないところが未だに爽快なのだ。ま、巨匠じゃないし。
デカマラ平地はその後マグナム北斗と改名し、ハーレム野郎なる漫才コンビを結成、『ザ・テレビ演芸』にて「客全然相手にしてないんですよね」と酷評された後に霧のかなたに。皆愛すべき連中のように思えたり。私自身のにっちもさっちもいかなかった青春期もその不燃性ゆえにぐすぐす愛することしか。