ドムドムだったら上手くいくんである

巣鴨駅前に最近オープンしたバーガーキングなるファーストフードの店に初めて。「アメリカで50年前に誕生以来、世界中で愛されているWHOPPER(ワッパー)」と呼ばれる野菜バーガーが看板商品らしいので「じゃワッパーとホットコーヒーを」注文して席に着く。各メニューの片隅にあるミールという単語の意味がわからない。ポテトとドリンク付のセットのことかしら。それともビーフパティをもう一枚、二枚とありありにするサービスのことか。「ミールって何スか?」と素直に聞いても親切に日本語で教えてくれなさそうなほどアメリカナイズな接客振りでもないのだが。だが利用客の5人に1人以上はミールって何だと思いながらなるべくシンプルなメニューを選んで今日のところはチャッチャと食べて帰ることにしているはずである。
その5人に1人の何割かはこのつぎ来店した際もミールって何スかとは切り出せずにすごすごと前回と同じメニューを選んでしまうはずである。そして他所のテーブルをチラチラと盗み見てはミールらしき物を食べている客を探してしまうはずである。ファーストフードの店にまつわるこうしたはがゆさ、こっぱずかしさが消え去るのはいつの日かと思う。こんな場面で身の縮む思いをするならちゃんと占領されちゃえばよかったのにとも。
昭和40年代生まれの私は日本マクドナルドの創成期をうっすら覚えている。ドライブスルー開設以前に家族で自家用車に乗って食べに行くほどの物だったのだそれは当時。ビッグマックの包装もまるで玉手箱のごとくメタリックシルバーのごてごてしたシロモノであった。バブル期のホブソンズ以上のお宝感に家族そろって大騒ぎしていたが。味の方はといえばデパートの屋上の自販機から出てくるブヨブヨの無名バーガーとそう差はなかったような。差がわからなかったのかもしれない。西洋人が刺身の赤身はナイスだがトロは気色悪いと吐き出すように。今では私ですらファーストフードはなるべくナチュラル志向の店を選んで利用していることに自分でおののく。今一度デパートの屋上のブヨブヨ無名バーガーにトライしてみようかとも。本当に違いのわかる男に成長できたのかどうか。
ところでバーガーキングもなかなかいけると思ったのだが最近ではこうしたファーストフードとはまた別のワンランク上といった感のバーガーショップが目立つ。私は未だにあの類の店を利用したことがない。何かミールよりワンランク上の俗語があの類の店ではまかり通ってそうで。「ポーキーズ?(君のは何センチ)」とか怖くて怖くて。