やおら貴方に帰りたい真昼である

2月10日、日曜日だから『はかま満緒日曜喫茶室』でも聴くかなとNHK−FMにダイヤルを。はかま満緒が何者か今時の若者は知らないだろう。お笑い界のご意見番で欽ちゃんの育ての親だよなどと教えてもそんな人物がまだ生きている不可思議に若者はおののくだろう。
お昼のラジオのパーソナリティの中にはそのような不可思議な御大がゾロゾロ登場する。日曜の午後の文化放送ではキンキンこと愛川欽也も毎週おしゃべりしているはずだが。キンキンの芸歴はロバ君なる子供番組の着ぐるみの中に入ってた人に始まる。昭和四十年代の子供であった私でもロバ君は何かそんなのあったか程度の引っかかりしか記憶に残ってない。そのくらい子供だった頃にもう大人でロバ君の中に入って両手を陽気に広げたり飛びはねたりしていた人物がまだ現役でしゃべくっているというのも不可思議っちゃ不可思議のような。ラジオだからって自宅の寝室から中継しているわけでもないだろうし。
その辺りも今日び放送中に何かあってもその時はその時だからといった風潮が欽ちゃんの24時間マラソンから始まってしまったような。いや『テレビジョッキー日曜大行進』の奇人変人コーナーからとっくに始まっていたのかもしれない。ふらりと画面に登場した素人が牛乳半ダースを一気飲みしたりヘビやカエルを生食したりした後に顔色が悪くなりもしやと思った時にはそれらを逆流させてしまうまでを日曜日のお茶の間に実況生中継していたあの頃。その時はその時よとはこんな状態のことをいうのだなと素人のゲロ濁流から半泣きで逃げる児島美ゆきの姿に痛感したあの頃。
何でこんなことしなきゃならんんのですかと抗議したくなるような白昼の惨劇ばかりが日テレのあの頃からの社風かと思えばそうでもないか、と、思いたくて再びTSUTAYAの懐かしドラマコーナーへ。今夜もまた一人再放送。今週は『気まぐれ天使』にするか。石立鉄男の日テレドル箱スター時代の代表作。石立鉄男のトーンダウンを決定づけたかもしれないのがドラマ『湘南物語』の遅刻がきっかけの藤竜也とのケンカ。ケンカというより一方的にオラオラ痛めつけられたに違いないその場を取り囲むスタッフがかってのドル箱スター時代と同じ、いや同じじゃないはずだが同じ日テレの人間なのだなと鼻血すすり上げつつ知り染めた石立鉄男のあの頃。あの頃私は石立鉄男に興味を失って主題歌『夢の中へ』を歌う斉藤由貴に興味を持っていたが。斉藤由貴は当時誰に興味を持っていたのか。『夢の中へ』のカップリングは『あなたの存在』。