俺達はまだ青春知らずである

5月23日、池袋レコファンのワゴンセールを物色。頭脳警察の『仮面劇のヒーローを告訴しろ』と『誕生』が千円か。頭警の再評価とRCサクセションの再浮上って確か同時期だったなと思い出す。同じワゴンに宇多田ヒカルの初期マキシもゾロゾロ並んでいてこちらも千円弱。これ聴いて中学時代にトリップする年齢層も結構な大人になるのかしらと。じゃ俺もと青春の一枚を今日はひとつ無理やり選んでしみじみ聴き入ろうとしたが。
思春期の頃から再評価の波にのまれやすくセコハン好きだったためにオンタイムで追っかけたフェイバリットとなるとなかなか見当たらない。『サニーデイ・サービス』が700円か。97年に出たサニーデイの4作目だ。そうだこの頃のサニーデイを私は九段会館で観たはず。単独公演ではなく若松孝二の映画がらみのイベントだった。一緒に観た家主のエイチが帰り際に「アングラは死なずとまでは言わないけど」この類のムーブメントは今後も地味ながら生き続けるんじゃないかといったことをボソリと語った。私もそうだろうと思った。思ったがそんな浅草の灯を消すな風のラブコールを受けるサニーデイはまだ若いのに気の毒かとも。
ルーツミュージックがそもそもアングラだから仕方ないじゃないかというならば宇多田ヒカルのルーツだって大差ないのではとも。いや大差あるのか。本作の中で宇多田ヒカル世代の記憶に残っているかもしれないのがCFに使用された『NOW』。あれはチョコレートのCFでメンバーが画面に登場するわけでもないのにそんな番外編もあったっけといつ聴いても思う。いやそんな番外編もあったか。
はっぴいえんどばかりが比較対象になるサニーデイだが最近になってビジュアル的には初期のRCサクセションから随分いただいてるのかと気づいた。これは周囲のスタッフが面白がって演出していた部分が大きいと思うが。十代の頃から影響受けまくったあの時代の超リアルな書き割りセットを次々と用意してくれる美術屋とガッチリ組んでいたサニーデイホリプロ時代のRCより幸せそうに見えた。それは私がホリプロ時代のRCを知らないから。
いずれにせよ青春の一枚と呼ぶには世間的に通りが弱い本作であるがブレまくりの青春期の終りに私が出逢ったあの頃のサニーデイはこのまま胸に残しておきたいような。九段会館のステージでのボヤキに必死で相づちをうち少しでも曽我部が反応するとしゃべっちゃったいいなと私もと発情していたファンの娘達は何処へ。友人の結婚式の二次会で臆面もなく『NOW』を熱唱したり。