お子様の夢の原産地は石川県である

12月9日、池袋のブックオフで『太陽戦隊サンバルカン』のビデオを入手。第一話から第三話までが収録された巻でヘドリアン女王はクレジットのみ。81年の2月から82年の1月まで放映されていた本作を当時中学生の私は毎週観ていた。それまでの戦隊シリーズとはトリオ編成という点と巨大ロボの登場という点と笑えるバトルアクションの強化という点でグレードアップされていたからか。
串田アキラのテーマ曲も本作から現在につながる戦隊ムードの空気を決定づけた気がする。後に『愛国戦隊大日本』なるパロディ作品も生まれたが『太陽戦隊サンバルカン』はその誕生からして壮大なパロディだった気がする。何をパロっていたのかを深く掘り下げることは今となっては空しい気もする。戦隊ものはいじめの教科書と非難されて久しいが現在のレンジャーシリーズに『大日本』級のパロディをぶつけて笑わせることなど可能であろうか。
サンバルカンがはっきりと国連主導の特殊部隊というストレートな設定で当時インパクトを与えたようにはっきりと角川春樹主導の忍者部隊が地球の平和とは関係なく戦うというような。本作がもし80年代初めに登場していなかったらその後の悪ふざけレンジャーも生まれていなかっただろうしいじめ問題も現在ほど深刻化していなかったかもしれない。しかし現実の社会はいつもあと一歩のところで呆気なく敗れ去る悪の帝国が戦隊もの育ちの青少年たちを悪の使い走りに吸収し続けている。サンバルカン以降の戦隊ものには入り込めなかった私は本作には不良番長シリーズのようなまだ折り目正しい悪童精神が残っていたと思いたいのか。
サンバルカンの地下秘密基地は群馬サファリパークの下にある。富士サファリパークのCMソングを串田アキラが歌っていたのも本作からのつながりか。猛獣も巨大ロボットも子供の大好きなものという制作サイドの狙いかとも思ったが。ヘドリアン女王を始めレオタード姿の女戦士のみが人間の姿でサンバルカンたちに挑みかかる本作には子供向けのお色気も用意されていたのだなと今ごろ気づいた。本来ならそっちを10年、20年とかけてエスカレートさせていきたかったのではないかと。
戦隊ものの影響で同級生の姫キャラ青年を集団逆レイプする女子中学生などが出現してくれると悪の帝国には願ったり叶ったりの新世紀がやってくるんだがなという期待を込めて本作はスタートしたのではないか。それにしてもレンタルAVの片隅にある戦隊ものだけはどうしても手を出す気になれない。この気持ちだけわかってほしいと岸田森の魂に。