ドサクサまぎれの君はわが運命である

1月20日、シアター上野にて千葉なぎさを観る。受付のおばちゃんに今日は誰を観にと問われウン、なぎさちゃんをと答えたが。集客力のあるタレントならばまた呼ぼうと思っているのかと。シアター上野には初参だったが予想を下回る戦後のドサクサ感というか。理科準備室位しかないスペースに30個ほどのパイプ椅子が並んでるだけのミニシアターである。
千葉なぎさは去年の暮れには池袋のミニシアターにも出演している。あまり仕事を選ばないというか今は走り続けるしかない状況にあるよう。そんな彼女のあしながおじさんになれる度量はないがなる方向で進めたい私はそのような決意を持ってやって来た。ミニシアター独特の仕切りのユルさにはもう慣れていたが舞台袖から楽屋がカーテン越しにチラチラ見えてしまうのがおどろきかと。そしてその楽屋をウロウロする出番待ちのタレントたちが皆全裸なのもおどろきだった。舞台の前にはシャワーを浴びるとか脱衣して神棚に手を合わせるとか何かそこだけのしきたりがあるのかと。
トップステージの徳永心が韓流ドラマをモチーフにした衣装とダンスで挿入ショーを。何がどこまで入るかを競い合っていた時代も今は昔だが韓流をアレンジに残してるところに妙に納得というか。ますます戦後色というか。そんな戦後のドサクサの中に千葉なぎさはいよいよ登場した。
私がアングラ演劇の舞台に出ていた頃にこの客席の中に一人でも自分に何か可能性を感じてもらえたらと思ったが。千葉なぎさのあしながおじさんになる方向の私としては今やその逆の立場である。去年の10月に船橋で観た頃より千葉なぎさは筋肉質になっていた。マイケル・ジャクソン好きでもある彼女はアメリカ志向らしい。和製エミリオ・エステべスとささやかれるヤングアメリカンな私とは好相性だが。愛だけじゃどうにもならない問題がやはり発生した。
最前列に陣取っていた青空球児好児のゲロゲーロな方に似ている男にいいよなかぶりつきでなどともらした会社員風の男にゲロゲーロが簡単にキレた。俺は朝から並んでんだコノヤロと会社員につかみかかるゲロゲーロを止めながらもベティスマイルの千葉なぎさのプロ根性。が、私としては彼女の素顔に触れたいわけで。
記念写真の表情がほんの少しだけ何かに怯えているのは嬉しいような。ミニシアターに集まる戦後色の強い酔客とは何かが違うと。貴方って一味違うのねと。一味も二味も違うのねと。などと私を官能小説家にも育ててくれそうな千葉なぎさこれからも応援したい。本物のあしながおじさんにはここに中指を。