夜明けの刑事もリクエストである

11月7日、ラピュタ阿佐ヶ谷にて『番格ロック』を観る予定だったがその日は満席。あぶれるほど人気のある映画に出かけたのは何年振りだろう。『番格ロック』の内容はともかくキャロルの演奏シーンが観たいのだろうたぶん皆。翌日早めに出直してやっと整理券を入手。待ち合いには当然キャロルがCDラジカセから流れている。そうして同じ目的であろう観客と『憎いあの娘』なぞフンフン聴き入るだけで何やら胸がわくわくしたり。
これはまるで70年代に50年代を懐かしんでミッキー・カーチスが山敬がと騒いでいた父親世代と何ら変らんような。同世代にあたる真心ブラザースと奥田民生とハルが少し前に結成したユニットのライブ映像を観たときにこれはまるでGSのメモリアルクラブバンドではと感じた。メモリアル世代突入かと。それはそれでいいかと。
『番格ロック』の脚本は大和屋笠だが大和屋といえば今年の夏に一角座に『愛欲の罠』を観に行った晩のこと。上野公園にてローラー族を見た。80年代初めに原宿に集結していたあのスタイルのローラー族だ。ラジカセをアンプに無理矢理アウトプットさせてガーガー歪んだフィフティーズに合わせツイスト踊るあのスタイル。女の娘も3人ほど混じっているが後はほぼ黒づくめのリーゼントの男達なのだが。この男達というのがどうも30代半ばを軽く過ぎてるような。80年代から今も現役バリバリのローラー族なのかもしれない。ちょっと気が遠くなるような思いがその時はした。が、そういう私も『番格ロック』な訳で。
やはりというかキャロルはスケ番グループの集まるディスコのホームバンド役で『ファンキー・モンキー・ベイビー』と『ルイジアンナ』をニコニコと演奏するのみ。それでも充分興奮したが。70年代の男性スターだけが持つ野性味というか土方味というか。実際肉体労働で鍛え上げたのであろう日に焼けたビルディーな体。今よりも体作りのメニューが限定されていたのか胸板の黒光り具合引き締まり具合が皆似てるような。ブルワーカー?この頃のこうした肉体派のカッコイイ兄貴像を背負った男性スターを四十面下げてうっとり見上げる私とは一体?水野春郎がジョン・ウェインが映画ではいてるのはリーバイスですなどとにんまり語ってた姿に近いような。
が、聞く所では最近のジョニー大倉のライブには若かりし頃の本人の映像が効果に使用されているとか。カッコイイ兄貴だった頃の自分を現在の自分にトッピングして楽しんでってくれよと。中年ローラー族同様笑えもしない戦慄の亜空間ステージだろうそれは。