2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

言わば日本の「青春」は明治生まれで

12月14日、金子光晴 著 『現代日本のエッセイ 絶望の精神史』(講談社文芸文庫)を読む。本書は1965年、昭和40年に明治百年、戦後二十年と呼ばれひと段落した時代的気分のなかで詩人、金子光晴が七十年の人生と世相を照らし合わせ振り返ったエッセイ集。当初…

その不思議はもう少しそのままにして

12月20日、町あかり『もぐらたたきのような人』(ビクターエンタテインメント)を聴く。今年の夏に新宿のディスクユニオン昭和歌謡専門店にてアルバム『ア、町あかり』のフライヤーを入手して以来その存在はずっと気がかりではあった。町あかりというその新…

溢れる不安と不満をぶつけていいのは

12月12日、サレンダー橋本 著『恥をかくのが死ぬほど怖いんだ。』(小学館)を読む。本書はWebメディア『オモコロ』に14年7月から12月まで更新された著者の漫画を初めて単行本化したもの。帯文に“えっ…このマンガ、サブカルをバカにしてる!?許せません!渋…

うんことおしっこは生きる上での基本

12月8日、谷川俊太郎 文 井上洋介 絵 『たべる』(06年 アートン)を読む。“この絵本、食べすぎにききます、ダイエットにもなります”というキャッチの通り井上洋介の生々しい人物描写と谷川俊太郎のえげつなくも可笑しい終末観による正しく“迫力の一冊!”主…

けれどその点は百も承知と思われる

10月13日、茨木のり子 作 山内ふじ江 絵『貝の子プチキュー』(福音館書店)を読む。本書は詩人 茨木のり子が生涯において唯一残した絵本の仕事として知られている。が、もともとは茨木のり子が放送作家時代に書いたラジオドラマの脚本を絵本向きに再構成し…