2012-01-01から1年間の記事一覧

そんなものはちょっと調べて元曲も

12月4日、『夜のアルバム』八代亜紀(ユニバーサルミュージック)を聴く。今年の6月から8月までの間に録音された矢代亜紀初の本格ジャズアルバム。八代亜紀にもクラブや米軍キャンプで歌っていた少女時代があったとは知らなかった。雪村いづみや伊藤ゆかりら…

港雄一演じる土地の有力者が使用人の

12月1日、『暴虐女拷問』(77年新東宝)をDVDで観る。監督、若松孝二。明治の維新騒ぎの後のとある鉱山地帯の寒村。港雄一演じる土地の有力者が使用人の女たちを次々と弄び妊娠した者、逃げ去ろうとした者は地元の警察に金を握らせ狂死を装い私刑に追い込…

タナダのあの以前の激しい怒りは

11月28日、テアトル新宿にて『ふがいない僕は空を見た』(2012年 東映)を観る。監督、タナダユキ。地方都市の高校男子がアニメファンの近所の主婦に誘惑されてコスプレしながら情事にふける。不妊症の主婦は姑から責められるストレスから高校男子の体を求め…

クリアに越したことはないだろうと

11月30日、『寺山修司 ラジオ・ドラマCD 中村一郎』を聴く。昭和34年にRKB毎日放送でオンエアーされたものだがデジタル・リマスタリングされた本作の音質はクリアである。以前、『ウルトラQ』のリマスタリングDVDを観た際にそのあまりにクリアでピ…

それじゃほとんどデモテープかと

10月28日、若松孝二傑作選『腹貸し女/音楽:ジャックス』を聴く。68年に公開された若松プロ作品の同名映画のサウンドトラックで音楽をジャックスが担当したもの。ジャックスの評判を聞いた若松監督が目黒スタジオにメンバーを呼び集め普段の練習通りに演奏…

お笑いのキンキンが2時間ドラマで

10月26日、神保町シアターにて『新宿馬鹿物語』(77年松竹)を観る。監督、渡辺祐介。愛川欽也演じる新宿のバーの雇われマスターは女嫌いで通ってる独り身の四十男。店のホステスたちには日々おちょくられ女は嫌だ女は怖いとひとりごちり続けるがマスターに…

できてませんよ友だちですから

10月24日、山田太一作品集13『友だち、深夜にようこそ』を読む。『友だち』は87年NHKドラマ人間模様で6回にわたり放映されたもの。私は1回も観ていないが当時の予告がずっと気になっていた。河原崎長一郎演じる航空整備士の中年男と倍賞千恵子演じるパー…

相談相手といっても以前から関係は

10月22日、『珈琲時光』(03年松竹)を観る。監督、侯孝賢。小津安二郎生誕100年記念作品として松竹が配給している本作は認印付の小津映画へのオマージュといった感も。一青窈が映画初主演に挑んだ主人公の陽子はフリーライター。雑司ヶ谷の安アパートで狭い…

肝心なところで東映ヒーロー劇化して

9月14日、『風の又三郎―ガラスのマント―』(朝日新聞社)を読む。89年に公開された同名映画のダイジェストと撮影日誌がミックスされた原田大二郎のスチールによる絵本のような。本屋の店先にある円谷プロ系の絵本のような。本屋の店先にある円谷プロ系の絵本…

石原真理子が特に嫌いだった訳でも

9月7日、山根貞男著『日本映画の現場へ』(筑摩書房)を読む。82年から88年までの邦画の撮影現場を映画評論家の著者が密着リポートしたもの。中島貞男から小沼勝、田中登といったポルノ勢、工藤栄一、石井聡互、崔洋一などのバイオレンス、ハードボイルド勢…

工藤夕貴が何となく家出して何となく

9月5日、『台風クラブ』(85年ディレクターズ・カンパニー)をDVDで観る。監督、相米慎二。田舎町の中学校舎を九月の台風が通り過ぎる。その一週間足らずの間に起きる少年少女の混乱と惨劇。キネ旬の監督全集には本作を相米慎二の描いた『青春の蹉跌』と…

そして12年7月に本書は発行された

8月27日、町田康 著『この世のメドレー』(毎日新聞社)を読む。この作品は『熱海超然』のタイトルで『本の時間』10年4月号〜12年6月号に掲載されたもの。その連載を私は11年1月号まで追いかけていた。2月に転居してみると都心ではフリーだった『本の雑誌』…

打ち上げの方が私は気に入った

8月3日、浅川マキ『Long Good‐bye』(EMIミュージックジャパン2010年)を聴く。二枚組ベストの一枚目は歌謡歌手時代からの代表曲を、二枚目はどっぷりジャズ歌手時代のライブを飾った佳曲を中心に。冒頭の『夜が明けたら』は『浅川マキの世界…

その後私がポアされなかったのは

7月30日、新潮文庫になった『苦役列車』を読む。働く四十代の希望の星と呼ばれる西村賢太は私とほぼ同世代。半自伝のスタイルで描き続けられる貫多シリーズに登場する80年代後半からの東京における可能な限りの極貧生活は私も知っている。いや、現在本作をフ…

本作に登場する松坂慶子は勿論のちの

7月27日、『ウルトラセブン』第31話『悪魔の住む花』をDVDで観る。脚本、上原正三。松坂慶子演じる少女が仲のいいお友だち二人とお花畑でおしゃべりをしている。少女がふと拾い上げた卵のからにくちづけをすると。突然意識を失った少女は病院に運ばれるが…

いや、なかには木の葉のこのような

7月22日、『十八歳、海へ』をDVDで観る。監督、藤田敏八。79年作品とは意外。藤田敏八といえば70年代の青春のイメージだが本作はその路線も終点に近い頃に生まれていたのか。永島敏行と森下愛子は百恵友和のゴールデンコンビに対抗する現実的で貧困なカッ…

そうした微妙な食い違いこそGS

6月15日、ザ・シャロウズの『シャロウズの世界』(11年ボルテージ)を聴く。昨年4月に本作をリリースしたザ・シャロウズはレコーディング中にはまさかこのアルバムが世に出る頃は脚光を浴びる余地もなく世間は混乱しているとは思わなかっただろう。80年代後…

そのものズバリの日常に立たされ

6月14日、『無防備』(08年無防備制作委員会)をDVDで観る。監督、市井昌秀。小さな漁村の医療器具工場で小部品の不良を仕分けるパート主婦二人のおはなし。一人は現場のリーダー格の木下。もう一人は新人の山田。山田は妊婦という設定。「腹ボテなのに何…

情けないといえば社長シリーズだ

6月12日、『社長漫遊記』(63年東宝)をDVDで見る。監督、杉江敏男。森繁社長の会社は太陽ペイントなる塗料ブランド。高度経済成長時には塗料が売れたのか。日曜大工のレクチャーをするテレビ番組なんかあったような。いやどこの家も自前のペンキで外壁や…

この人は男らしいのかなと私はその時

6月11日、『団鬼六 花嫁人形』(79年にっかつ)をDVDで観る。監督、藤井克彦。主演は倉吉朝子という当時の新人。さほどビビッドな魅力もないサーファー女子大生といった感の隣のお姉さんか。お姉さんだけじゃ画面がもたないだろうからと助演に志麻いづみ…

最初の台詞でほぼ全編の内容を説明

4月30日、『セックス・チェック 第二の性』(68年大映)を観る。監督、増村保造。メキシコオリンピックをめざす社会人陸上部のグランド。コーチに招かれた緒形拳演じる元陸上選手に会社側は言う。名スプリンターだった貴方がコーチしてくだされば私の計画は…

時代の先端とはそういうものだよと

4月27日、『家族ゲーム』(83年ATG)を観る。監督脚本、森田芳光。助監督は金子修介だったのか。80年代半ばに渋谷にあったシナリオ教室に私が通っていた際に金子修介は目玉講師として照れくさそうにやってきた。その時、『家族ゲーム』の松田優作と同じ水…

だが今はカット、ぼかし全盛なのだ

4月23日、『バージンブルース』(74年日活)をDVDで観る。監督、藤田敏八。「私達って高校生でもないし大学生でもない」主人公の秋吉久美子は地方から上京して予備校の寮で浪人生活を送っている。趣味は集団万引き。狙いをつけたスーパーの店先に積んであ…

27年たってもそんなに変ってない

4月22日、『それから』(85年東映)をDVDで観る。監督、森田芳光。冒頭、この作品は本編が古いため画像に乱れがと断りが。27年たってもそんなに変ってないように思えたのは主人公の親友役の小林薫か。いや小林薫も今とくらべれば充分若い。では主人公の親…

映画の初めから終りまでおラこらオラ

3月3日、最寄りの図書館にて『ワールドアパートメントホラー』(91年ソニーミュージックエンターテイメント)を観る。監督、大友克洋。主演、田中博樹。田中博樹と聞いてもどんな俳優だったかすぐ思い浮かぶ人は少ないのでは。私も知らなかった。当時の本作…

忘れるなら姫神。もう断然姫神。

2月21日、地元の図書館で見つけた『銀河鉄道の夜』(85年テイチク)のサントラを聴く。肝心の映画も観てないし宮澤賢治の原作も読んでいない。大学の卒論、といっても大学と呼べるもの卒論と呼べるものでもないが私の卒論は宮澤賢治。賢治作品にまともに触れ…

『人間失格』とどっち借りようかなと

2月26日、『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』(09年フジテレビ)を観る。監督、根岸吉太郎。脚本、田中陽造。原作は太宰治で本作が公開された年は太宰ブーム再燃の年だったようなそう盛り上がらなかったような。『人間失格』とどっち借りようかなと思い松た…

股間には豪ちゃんマークが輝いていた

2月24日、『おいら女蛮(すけばん)』(06年 キングレコード)をDVDで観る。監督、井口昇の原作は永井豪とダイナミックプロダクション。『スケバン刑事』の原作は読んだことなくても『おいら女蛮』は読んでいたような。女蛮が対立グループのリンチに合う…

ミラーボールの下で巨尻を眺めつつ

1月14日、最寄りの図書館で借りた桑名正博のRCA時代、つまりベストテン歌手時代のベスト盤を聴く。松本隆と筒美京平のヒットメーカーコンビの協力を得てソロ歌手として大輪の花を咲かせていた頃の桑名正博のイメージは正しくわれらあ兄貴。当時中学生だっ…

ひたすらハタ迷惑に展開して行くが

1月2日、『時代のキーワード 寺山修司の状況論集』(思潮社)を読む。寺山本の中では後期に出版されたもので初版は85年5月4日。もうその頃には健康状態も最悪だったのではないかと思うが。入院中の著名人の連載エッセイが亡くなる直前まで休まず同じテンショ…