2023-01-01から1年間の記事一覧

それこそおもしろまじめな役者ぶり

11月20日、『赤塚不二夫のギャグ・ポルノ 気分を出してもう一度』(79年 日活)をDVDで観る。監督、山本晋也。本作は漫画家、赤塚不二夫が原案を立てプロデューサーと脚本を兼ねる高平哲郎ともちろん山本晋也監督と関係者一同が飲んで騒いで生まれたパー…

渡世の義理と経営者の孤独は同意語か

11月19日、はしだのりひことシューベルツの『未完成』(東芝音楽工業)を聴く。本作がレコーディングされたのは68年11月から69年4月の間。私はシューベルツは70年代初めに活躍したバンドだと思っていたが68年のフォークルの解散時には既に準備していたそう。…

要は踊らされるなよということだが

11月17日、森達也 著『たったひとつの「真実」なんてない』(ちくまプリマ―新書)を読む。本書は映画監督、作家で大学教授でもある著者が2014年に書き下ろしたコラム集。著者がこれまで発表したコラムはいずれも一貫して「情報は公正でもないし中立でもない…

「東陽片岡」という筆名は夢のお告げ

11月14日、東陽片岡 著『ステテコ行進曲』(青林工藝舎)を読む。本作は漫画家、東陽片岡が06年から08年まで『週刊漫画サンデー』に連載していた作品を単行本化したもの。冒頭の『ワタシはそれが気になって仕方がなかったのまき』で作者は自身がオナニーやウ…

勝新太郎と同じ65才で死去した著者の

7月30日、宮沢章夫 著『長くなるのでまたにする。』(幻冬舎文庫)を読む。本書は劇作家の宮沢章夫が15年に発表したエッセイ集を文庫化したもの。著者は昨年の9月に亡くなったが本書は追悼企画ではなくトミヤマユキコの解説も著者の精力的な仕事ぶりを身近で…

見たっていい。夢ぐらい見たって。

7月29日、『午前中の時間割り』(72年 ATG)をDVDで観る。監督、羽仁進。“『初恋・地獄篇』の鬼才、羽仁進 監督が放つ、珠玉の青春映画” である本作は一般向きには失敗作として知られる。本作のようなATG作品を公民館などで無料で観られる上映会が80年代後半…

そもそも俺の家だということなのか

7月27日、南正人の『南正人ファースト』(73年 ベルウッド)を聴く。本作は南正人が八王子市美山町の自宅にキャラメル・ママを招いて録音された元祖宅録盤。現在、古民家をリフォームしてカフェや洋品店にしたりするセンスのはしりかも。そんなセンスの店のB…

一度は自分を受け入れたはずの世間に

7月25日、丸尾末広 著『アン・ガラ』(KADOKAWA)を読む。本書は漫画家、丸尾末広が『月刊コミックビーム』に21年から23年まで発表した連作の単行本。60年代後半の東京で暮らす十九歳のミゲルとサチコ。ミゲルは漫画家を目指して『ガロ』に原稿を持ち込む。…

昔はそんなものだったという史実は

5月16日、橋本治 著『その未来はどうなの?』(集英社新書)を読む。本書は作家、橋本治が2010年の秋に病に倒れながら「自分の体をなんとかするのは自分だけだ」という信念から書き続けた渾身のエッセイ。冒頭の『テレビの未来はどうなの?』の章で「テレビ…

今年もやむにやまれず歌ってしまった

4月29日、狭山稲荷山公園にてハイドパーク・ミュージック・フェスティバル 2023を観る。06年以来17年ぶりに再開されたフェスの1日目は天気も入りも上々。正午過ぎに登場したサニーデイ・サービスはいい時間に思いきりやれている様子。新メンバーの大工原…

嫌われると承知の上の炉悪趣味が

4月19日、根本敬 作・画『生きる 2010』(青林堂工藝舎)を読む。本書は漫画家、根本敬が2010年に描き下ろした『生きる』と同シリーズを80年代に『平凡パンチ』に発表した旧作を大宅壮一文庫で発掘し「とにかく全部」収録したもの。水木しげるが貸本時代の…

またぞろ振り出しに戻れたのは実に

4月12日、シネマート新宿にて『GOLDFISH』を観る。監督、藤沼伸一。本作はアナーキーのギタリスト、藤沼伸一がバンドの全盛期から転落と再出発までをみずから描いたもの。メンバーのマリこと逸見泰成は17年に自死したが詳細は公表されていない。身内がそっと…

本作はいつ観てもそんな良い映画

1月29日、『TATOO[刺青]あり』(82年ATG)をDVDで観る。監督、高橋伴明。本作は79年に起きた三菱銀行人質事件を素材にした犯罪ドラマ。80年代初めまで凶悪事件を脚色した実録物とも呼べる劇映画は量産されたが。事件の周辺にいる人々に配慮して今ではあまり…

世が世なら串田アキラみたいになって

1月25日、山口富士夫の『Tumbling Down』(17年 Good Lovin)を聴く。本作は84年、渋谷屋根裏での山口富士夫率いるタンブリングダウンの演奏を恐らく家庭用ラジカセで録音したもの。音質は劣悪である。山口富士夫の楽曲はガレージパンクやノイズアバンギャ…

著者もナンシー関も時期を同じくして

1月24日、中島梓 著『夢見る頃を過ぎても』(ちくま文庫)を読む。本書は評論家、中島梓が94年から95年まで『海燕』誌上に発表した文芸時評を収録したもの。序文に―その昔十年前に日本読書新聞というところで「同人雑誌評」を一年間やり―と記されてい…

下手なエコノミストより格段に速く

1月22日、東洋片岡 著『ワシらにも愛をくだせぇ~!!』(青林工藝舎)を読む。本作は漫画家、東洋片岡が『アックス』誌を中心に08年から18年までに発表した作品を収録したもの。東洋片岡の名前はなんと『漫画家、アニメ作家人名事典』に載っていた。「東京…