2007-01-01から1年間の記事一覧

極楽とんぼは早過ぎたのである

11月11日、ラピュタ阿佐ヶ谷にて『いちどは行きたい女風呂』を観る。70年日活作品。監督、江崎実生。浜田光夫、前野霜一郎、沖雅也の浪人トリオがくりひろげるハレンチ喜劇である。が、笑いのセンスはいかにも70年代的なボンヨヨヨーン感覚に終始した…

夜明けの刑事もリクエストである

11月7日、ラピュタ阿佐ヶ谷にて『番格ロック』を観る予定だったがその日は満席。あぶれるほど人気のある映画に出かけたのは何年振りだろう。『番格ロック』の内容はともかくキャロルの演奏シーンが観たいのだろうたぶん皆。翌日早めに出直してやっと整理券…

草葉の陰からグッときちゃうんである

10月17日、ポレポレ東中野にて『十二人の写真家』を観る。本作は1955年に写真雑誌『フォトアート』の創刊六周年を記念し読者に向けて製作された。公開は同年5月18日。銀座、山葉ホールにて現在でいうトークイベントが開かれそのメインプログラム…

色気もソッ気も利権がらみである

10月18日、シネカノン有楽町2丁目にて『サディスティック・ミカ・バンド』を観る。伝説のバンドの35年間を駆け抜ける!と『ぴあ』の作品紹介にあったが本当に駆け抜けているというか。貴重な当時の映像資料がテンコ盛りとは確かに宣伝文句には一言も…

半笑いで神格化された夜なのである

10月14日、ラピュタ阿佐ヶ谷にて「映画監督 松林宗恵―和尚・海軍士官・映画監督を生かされてー」『恋の空中ぶらんこ』(76年東宝)を観る。客席中央に座っているのは映画監督、松林宗恵その人であった。 本特集に私が足を運んだのは二度目である。前回…

君には罪はない、罪はないんである

拙宅に程近い巣鴨、板橋、王子周辺の住宅街をぶらぶらする内に必ずと言っていいほど出くわしてしまうアレ。野菜市場から引き下げたような四輪の台車に鉄柵をつけて赤や黄色のペンキで塗り上げたものに保育園の入園児を乗せて保母らが手押しして周囲を「お散…

ワーストセラーも狙い通りである

文春文庫、今月の新刊に渡辺和博『キン・コン・ガンーガンの告知を受けてぼくは初期化された』がついに登場す。今年二月に渡辺和博が死去した頃に家主のエイチと私は阿佐ヶ谷の古本屋をブラブラと歩き回った。ナベゾの『キン・コン・ガン』を探しているのだ…

そのオブラートの方がヤバイんである

9月23日、上野、一角座にて『河内紀 音と映像の仕事―耳をすます、眼をこらすー』を観る。本特集の前半、中盤では河内紀が鈴木清順の組で残した『ツィゴイネルワイゼン』、『陽炎座』を上映してきた。が、後半は河内紀が演出を手がけたTVドキュメンタリ…

全体今日は何の日なのかである

9月20日、駒込から上野まで何となしにひた歩く。中華料理「好来」はよく立ち寄る店なり。今日はBセット、タンメンと半チャーハン八百円を。店のテレビでは『おもいっきりテレビ』が。これが日曜の昼下りともなると当然のように『新婚さんいらっしゃい』…

こちらは戦後劣性コンジロームである

9月14日、三軒茶屋中央にて『戦後残酷物語』(68年大映)を観る。監督 武智鉄二。今回の武智鉄二特集の中で昭和四十年代生れの私が記憶していたのは81年の『白日夢』と83年の『華魁』か。『華魁』については当時12チャンネルの『金曜スペシャル』…

日本映画名作劇場を偲ぶのである

同年代である家主のエイチから今年初めに届いた近況報告には「いよいよ二度目のハタチです云々」といった一文があった。二度目のハタチという言い草は近頃割合ポビュラーなのかしら。杉田二郎も三度目のハタチらしいし。私なぞが二度目のハタチを通過して感…

男は顔、いや前頭部である

8月26日、一角座にて『愛欲の罠』を観る。一角座は2005年、上野公園東京国立博物館敷地内にオープンした「スクリーンとサウンドを最優先した」映画館である。館主であり映画プロデューサーでもあり監督でもある荒戸源次郎が34年前に大和屋竺に製作…

人情は無残にするりと改装中である

8月15日、高田馬場にするりと。駅前の「BOX」が改装中だった。あのスポーツマンの壁画も無くなってしまうのか。あんな物に何の思い出も染みこんではいないが。反対側の質屋の屋上にあったモンローと力士が噴水の前でにらみ合っているまったく訳のわから…

理科実験室の水は松脂の味である

8月9日、シネスイッチ銀座にて山下敦弘監督作品『天然コケッコー』を観る。山下敦弘監督は今年すでに『松ヶ根乱射事件』を発表している超売れっ子監督である。本作『天然コケッコー』の舞台は木村という名の海と山にかこまれた架空の田舎町。実際のロケ地は…

奇怪なブツには手が出ないんである

郷里にて引き続きうだうだと過ごす。押入れの奥に十代の頃の愛読書やすり切れるまで聴いたレコードなんぞ眠ってないかと探し回る。無い。考えてみれば親元を最初に離れた後に両親は何度も転居している。まだ青年だった私のためにはそうした思い出の品々も大…

マシュマロマンはどマイナーである

7月20日、新文芸座にて『追悼 テレビが生んだ昭和の笑マン 植木等』の最終回にあたる『逆噴射家族』(84年東宝=ATG)を観る。本特集は60年代のクレイジー作品を中心に2週間日替りで上映されてきた。が、最後の最後まで笑マン植木等との別れを惜…

デカマラ平地並に最低で幸せである

7月18日、阿佐ヶ谷に。駅前商店街にていつものようにととやのクジラメンチを買い食いするつもりだったが今日はマグロコロッケなる新商品に差し替えられている。クジラメンチはもう生産中止ということか。 鯨肉がいつまで食べられるのかなどといった話題も…

そういうことをするなよなぁである

7月23日、やっとこ夏休みを取り郷里の茨城県鹿島市へ。両親が3年程前にIターンした土地なので郷里といっても何の思い出もないはずの実家で過ごす。鹿島といえば十余年前にトップAVアイドルだった北原志穂が色々あって再デビューした時の芸名が鹿島志…

大中帰りの青剃り学生のあの頃である

6月21日、秋葉原のDVDショップになんとなく闖入。AV女優とおぼしき若い女性がメイド風のコスチュームで店頭キャンペーンを行っていた。演歌歌手がCDショップの店先でカラオケ持参で新曲をキャンペーンしたりするのと同様に出演作品のモニター画像…

極妻も愛人も怖くもない御方である

6月15日、フィルムセンターにて川島雄三監督『お嬢さん社長』を観る。ロビーをくぐり映画ホールにつづく階段の途中で泉麻人らしき人物を目撃。もうそろそろおじいさんといった感にまさかと思ったが。考えてみれば『テレビ探偵団』や『冗談画報』からはか…

篠沢教授を見る目が今変わるのである

6月10日、シネヴェーラ渋谷にて『官能の帝国 ロマンポルノ再入門』、『鍵』(74年 にっかつ)を観る。当初のプログラムではこの日、『㊙女郎市場』、『花芯の刺青 熟れた壺』ともう一本、相米慎二『ラブホテル』が上映される予定であった。が、フィルム…

ゲットーに白鳩舞う今に思うんである

6月6日、ラピュタ阿佐ヶ谷にて『愛と希望の街』(59年 松竹)を観る。添えもの映画特集のトリが大島渚というチョイスに何か感じるものが?私は感じなくもないが今時の若者にはどうなのだろう。世界のオオシマだってデビューは添えものだったんだなどと今…

処女飛行ゆえに見守りたいんである

5月24日、ラピュタ阿佐ヶ谷にてモーニングショー< 加賀まりこ> 『月曜日のユカ』(64年日活)を観る。家主のエイチから稿料と一緒に送られてくる袖の下がここのところなぜか中平康の関連書籍つづきなのだ。表紙はいずれも『月曜日のユカ』の加賀まりこ…

トリスで乾杯する戒厳令の夜である

5月21日、ラピュタ阿佐ヶ谷にて『おーい中村君』(58年 大映東京)を観る。主演、川崎敬三。川崎敬三のズッコケサラリーマンのライバル役として田宮二郎が出演しているがクレジットには柴田吾郎とある。田宮二郎の駆け出し時代の芸名が柴田吾郎なのか知…

それこそがホロ苦い男の優しさである

5月19日、ラピュタ阿佐ヶ谷にて「添えもの映画百花繚乱 SPパラダイス 『トップ屋取材帖 悪魔のためいき』(69年日活)『トップ屋取材帖 影のない妊婦』(60年日活)」を観る。SPとはSister Picture、つまり姉妹篇の意。一時間足らず…

六年越しの精神注入である

5月16日、シネアートン下北沢にて 「監督 相米慎ニ 『夏の庭 The Friends』」(94年読売テレビ放送)を観る。前回本作を観たのは2001年11月の銀座シネパトスでの相米慎二追悼上映でのこと。今回再観してみて前回はほとんど内容を飲み込…

ハチのムサシで踊り狂ったのである

4月25日、フィルムセンターにて「追悼特集 映画監督 今村昌平と黒木和雄」,『ええじゃないか』(81年松竹=今村プロ)を観る。主演の泉谷しげるは当時俳優として注目され始めた頃だったような。ミュージシャンを映画の世界に引きずり込んで案外達者な演…

最終回は最低に最高で最悪の愛である

4月19日、ラピュタ阿佐ヶ谷にて「田中登の世界」の最終回、『㊙色情めす市場』(74年日活)を観る。本作を初めて観たのはもう10年ほど前か。亀有名画座に通い始めた頃か。パートカラー作品を観た最初か。いやそれ以前にも大島渚作品、若松孝二作品な…

顔で笑って心で射精すべきである

4月17日、ラピュタ阿佐ヶ谷にて『性と愛のフーガ 田中登の世界 木曜ゴールデンドラマ 愛の報い』を観る。前回の上映に出向いたところ満席で観られなかったのでそんな隠れた秀作なのか知らんと思い期待したのだが。 上映前の客席で残り少ない座席のどこに…

あのおじちゃん家行っちゃダメである

4月12日、ポレポレ東中野にて大津幸四郎第一回監督作品『大野一雄 ひとりごとのように』を観る。1906年生まれで今も現役の舞踏家、大野一雄のドキュメンタリーフィルムである。監督、大津幸四郎は小川プロ出身のカメラマンで劇映画の撮影監督としても…