2020-01-01から1年間の記事一覧

現在その流れにあるのは誰だろう

11月18日、梅崎春生 著『怠惰の美徳』(中公文庫)を読む。本書は作家の梅崎春生が昭和17年から昭和41年までに新聞や文芸誌に発表した雑文と小説を再編したもの。その中の『聴診器』は昭和37年に『新潮』に書いた身辺記。小学生になる著者の息子が学級新聞の…

その心の原風景はいつもとちがって

11月5日、赤塚不二夫 著『天才バカボン㉑』(竹書房文庫)を読む。本作は『週刊少年マガジン』に76年5月から12月まで掲載されたもの。コミック版『天才バカボン』の最初の最終回が読める。連載自体は67年4月に開始しており実に10年近くも週刊ペースでギャグ…

わが青春の一本とでも呼びたい映画を  

8月19日、『青春デンデケデケデケ』(92年東映)をDVDで観る。監督、大林宣彦。本作をビデオで観返すのは初めて。わが青春の一本とでも呼びたい映画を中年過ぎて観返すと制作側のお説教やごまかしに気付いて嫌になるというが。60年代末の田舎町でエレキバ…

旗揚げ時のあふれくる本当の願いは

8月10日、鴻上尚史 著『鴻上尚史のごあいさつ 1981-2019』(ちくま文庫)を読む。本書は劇作家の鴻上尚史がこれまで手がけた自身演出による舞台にて配布してきた手書きの近況報告「ごあいさつ」を全て収録して新たに「解説」を加えたもの。81年の旗揚げ公演…

負けじと食らいつく花の応援団のような

8月9日、筋肉少女帯『仏陀L』(88年 トイズファクトリー)を聴く。本作は大槻ケンヂ率いる筋肉少女帯のメジャーデビューアルバム。ジャケ写にはオーケンとキーボード担当の三柴江戸蔵のみが和服姿の老人会の姿様に囲まれて写っている。残りのメンバーは撮影…

神の視点とは云わず人としてどこまで

8月5日、高橋留美子 著『高橋留美子傑作集 魔女とディナー』(小学館)を読む。本作は著者が12年から17年まで『ビッグコミックオリジナル』誌上に発表した読切漫画6篇を収録したもの。表題作『魔女とディナー』はエステ企業の女社長の呪術に引っかかり食べ…

が、このもどかしさこそが渚ようこ

4月24日、渚ようこ『ベスト・ヒット12デラックス』(日本コロムビア)を聴く。本作は一昨年急死した渚ようこが90年代後半コロムビアに残した音源を追悼盤としてまとめたもの。数多のGSフォロワーの中で渚ようこだけが持つどこか常軌を逸した異常な執着は今…

著者のカラオケ姿もふんだんに登場

4月3日、東陽片岡 著『レッツゴー‼ おスナック』(青林工藝舎)を読む。本書は漫画家、東陽片岡が04年から10年までに発表したスナックがらみの漫画に自身のカラオケ講座と美人ママインタビューなどのコラム記事も併せて収録したもの。著者のカラオケ姿もふん…

80年代初め、まだ自前のメイクで

4月2日、忌野清志郎 著『ロックで独立する方法』(新潮文庫)を読む。本書は忌野清志郎が音楽で独立したい若者に向けて語り下ろしたレクチャー本である。が、09年に清志郎が亡くなるまでに単行本化は叶わなかったもの。構成はRCサクセションの全盛期のタレ…

しかし映画とは本来芝居を見せるもの

3月18日、テアトル新宿にて『星屑の町』(20年「星屑の町」フィルムパートナーズ)を観る。監督、杉山泰一。本作は94年に劇作家、演出家の水谷龍二とラサール石井、小宮孝泰による「星屑の会」が上演して以来25年に渡る人気シリーズとなった舞台劇を映画化し…

インフレ期、バブル期、格差期と

12月20日、村上龍 著『オールド・テロリスト』(文藝春秋)を読む。本作の概要は民間人が国家レベルのテロに関わるという点において『コインロッカー・ベイビーズ』や『愛と幻想のファシズム』などの過去作と重なる。インフレ期、バブル期、格差期と時代を経…

大きな声では言えないがこういうのも

12月1日、勝又進 著『赤い雪』(青林工藝社)を読む。本書は漫画家、勝又進が78年から80年までに『漫画ゴラク』などに発表した作品を05年にまとめた既刊の普及版。帯文には“つげ義春、水木しげるが絶賛し、2006年度第35回日本漫画家協会大賞を受賞”と紹介さ…

わざとらしくフライングさせることで

11月20日、新宿ピカデリーにて『iアイ新聞記者ドキュメント』(19年スターサンズ)を観る。監督、森達也。本作は東京新聞社会部記者、望月衣塑子の取材現場を密着取材した報道ドキュメント。望月記者のスーパーウーマン的な活躍ぶりにカメラは息も絶え絶え…

過去20年のハイライトシーンの再演

9月28日、日比谷野外音楽堂にて、eastern youth を観る。晴天に恵まれた客席は満杯。「うだつのあがらないバンドを20年も続けてきましたが、かき集めればいるものですな」と感心する吉野寿の健康状態も悪くないよう。過去20年のハイライトシーンの再演といっ…