恋すれど廃盤とはこの事である

 「東京は夜の7時」とは矢野顕子のライブアルバムである。私はそのアルバムを今まで持っていなかったがタイトル曲の「東京は夜の7時」はFM放送で以前聴いていた。聴いていたつもりになっていたのだ。“東京は夜の7時、東京は夜の7時”というリフレインが続くその曲を私は気に入ったからだ。が、矢野顕子のライブアルバム「東京は夜の7時」のタイトル曲は私の知っていた「東京は夜の7時」ではなかったことが先ごろ判明。レコファンの割引セールで入手した本作一曲目の「東京は夜の7時」は私の知っている同名曲とは詞の構成もメロディーも違う。恐らくは矢野顕子の何か別の小仕事で同曲のお遊びバージョンを作ったか、細野ファミリーの末裔が同曲にオマージュを捧げて作ったその曲を偶然聴いた私がこれが「東京は夜の7時」か、いい曲、今度買おうと記憶したまま年月が経ち今回のような事になったのであろう。RCサクセションの「あの娘のレター」にも、同じ詞のままちょっと指向を変えた同名異曲を航空会社のCFに使用していて私はとまどった過去がある。どうもこの手に乗せられやすいよう。

 最近になって出版されたNHK少年ドラマシリーズのムックの中にはあの「未来からの挑戦」に関するデータもある。当時小学生だった私にとっては「そうだテレサ野田出てたわ」とか高校野球で中断した回が言われてみればあったかもなどと一人はしゃがせてもらい嬉しかった。が、あのタイトル曲についてのクレジットは一行もないのが残念。音楽ディレクターの名はあるのだが。私が記憶をたどって思い出せるのは「冷たいしぶきに声上げて 裸足で波を追っていた まだ春知らぬ冬の渚」という詞の一節。それとももしかしたらタイトルが○○青春、もしくは青春の○○で歌っていたのはもしかしたら小椋佳かも知れないということである。こんな事を書いて今のは小椋佳の代表作で答えるのも恥ずかしいという人も御一報下さい。いや御一報いただかないほうが良いのかも。エイチは90年代の初めに私のところにわざわざ電話をかけてローリング・ストーンズの「サティスファクション」にそっくりだぜこの曲とローリング・ストーンズの「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」をわざわざ御紹介してくれた。そういうトホホな過去を三十面下げて再現したくもないのだが。「未来からの挑戦」は私の(当時の)未来を変えた。何をどう変えたのかはさておき、そうだな「未来からの挑戦」からだなと感慨にふけるミドルエイジの皆様お元気ですか。やっぱりジュニアSFっスよね我々の世代。