雪崩式に親父臭充満である

 もうじき私も37才。私の17才などと言えばアイドル歌謡的でそれなりに絵にはなりましょうや。どうしたらいいんですか私の37才。自分なりに考えあぐねた結論として思いきって親父化するならしろ。とことん老けさらせということ。ストリップ観劇なんかも実はそう。もういいじゃないのっていう。それやったら親父じゃないっすかって三十面下げてはにかんだってウス気味悪いっていう。松田洋治。だって現に親父じゃない。親父でいいんじゃないっていう。親父万歳っていう。長門勇

 ちゅな訳で今回私は生まれて初めて映画館の座席の上でちらし寿司弁当をかっ込んできました。靴脱ぐの忘れたけど。次回脱ぐ。実際試してみると案外ホッとするんである。ホッとしてしみじみするんである。昔ながらの小便映画館に東映まんがまつりなぞ観に行くと前の方で弁当食ってるオッサンいたわなあっていう。上映中はロクすっぽ観ちゃいないでがーがーいびきかいてるくせに映写事故が起きるとムックリ起き上がってクレーマー化すオッサン。さういう人に私はなりたくなかったのだがもう戻れないところまで来てしまったんである。ちらし弁当持ち込んだ以上戻れないんである。いずれ水筒に自家製麦茶を入れてグビグビやり始めますから。水筒の中身のぞき窓から見えますから。見エール。水筒持ち込んだらランチジャーいこうじゃない。タイガーじゃない。氷川神社のお守りも携帯のストラップ感覚でブラ下げてみたい。で、ギアはやはり作業服。○○鉄工とか、(有)○○社とか胸にステッチしてあるカーキのドカジャンだって。もう着こなせるって。ここでポイントにしたいのはその○○鉄工や、(有)○○社にはもう勤務していないこと。とっくにクビになった勤め先の作業服を着て昼の日中にプラプラしてる点が重要。自称土木作業員と。

 そういえば行きつけの喫茶店などもそろそろロートル化させていきたいなあ。しかし最近は激安コーヒースタンドもそんなにムサクないから若者からそうした親父まで金がない人間はこぞって利用している。それが面白くないんである。プアはプアなりの店でくすぶってこそ。本当に高度経済成長時代で時間の止まったオンボロ喫茶がいよいよ虫の息。仕方ないのだろうか。激安コーヒー飲みに来るプア裏切り者だと声を小さくして言いたい。金がなけりゃ何をしてもいいのかと。百円玉三枚も上乗せすりゃ忘れかけたホカホカの貧乏感覚が味わえるというのに。何十年前に仕込んだかわかんない今月の貴方の運勢まで知ることができるというのに。