人生のプロボウラーなのである

 夏という事でやはりウエストコースト。西海岸の風を感じるモノ、コトを探し求めてみたいと思う。勿論実際西海岸に遊びに行ける訳もないのだが今出来る限り手の届くだけのところで何とかその西海岸を。ウエストコーストを、ねぇ。やっぱ大宮?ハタボウルじゃない。ボウリング場を半分ポシャらせて展開したレジャーランド。それが日本の70年代の西海岸だったと言える。ロジャースボウルの旧館がガレージ市場化してしまったのは今の時代仕方のないことかもしれない。70年代からそりゃガレージっちゃガレージだったのだが。当時はガレージなりにも活気と明るさがあったのだ。ウエストコーストな風がそりゃ吹いてましたよ。ゲームコーナーのジュークで繰り返し聞いた「ソウルドラキュラ」が忘れられない。当時はまだ最上階でのみボウリング場も営業中だった。現在ではこれはもしやあのストライクゾーンにあたるゾーンと思える半円のくぼみにもティッシュや洗剤が積み上げられている。ボウリング場の面影を残したレジャーランドが今現在どのくらい残っているのか知れぬがきっとそこにはあのウエストコーストの風がと私は思いめぐらす。何をもってああした場所にそれを感じるのか。落ち着きのある光量か。シャンデリア。誰も食べないパプコーンの自販機。小学生でも無限出しのイカサマができる10円スロット。やっぱり誰も買わないプラケースに陳列された高倉健からジョン・トラボルタまでバラエティ豊かな販売ポスター。それらはまぎれもなくあの時代のボクらのウエストコーストでした。

 今こうして書き連ねてるうちにフト気付いた。同じ戦略でまだがんばってるのがヴィレバンではないか。中年期に入った今でもそこそこ胸ときめかされてしまうヴィレバン店内のあの匂い。あの匂いとは新宿ニューアートにも通じる芳香剤の匂いそのものではない。私の心の想い出箱の中にもまだ残るあの匂い。探さなくてもやはりというか今も手の届く所に鎮座している国産ウエストコーストのあの匂い。たまらん。ヴィレバンにも王様のアイデアにも気持ち的にはもう反応したくないのよ三十面下げて。親戚中のジャリ共の教祖たる夏大好きオジサンみたいなの嫌だし。しかし自分が小学生の時はそういうオジサン以外のオジサンを軽視してたし。何だ横分けじゃねぇ。空気銃も持ってねえでやんのとか。ひょっとしたら自分も今頃は日曜ごとにワゴン車に家族を乗せて何たらボウルに押し寄せていたかも知れぬ。

 一瞬ね。森本レオがちゃんと家族サービスしてるところを去年の今頃見ました私は。彼こそは。