安、上がって来い登って来いである

 ドラマ「アタックNO.1」を中学生になる娘と毎週楽しみに観ています。カラオケBOXで新旧の主題歌を親子メドレーしたりして大盛り上がり。ま、そんな暮らし振りもあっておかしくない年代になってしまった。そんないい年にもなってボムなんぞ買ってしまった。が、裏表紙にはそんな私とほぼ同世代のくりぃむしちゅーの二人がアデランスの広告に出ている。ヘアサポートが必要な中年共もまだまだ読み続けてるに違いないと作り手側が踏んだのか。
 実際音楽誌、サブカルチャー誌なぞはいつの間に読む事もなくなった三十代もアイドル誌だけは今だ縁が切れてない例が多いのではないか。今さらロックでもない、今さらゲテモノ映画でもない、アングラ演劇でもないとは言ったものの。今さらアイドルでもないとまで言い放つ事に不安がつきまとうのではないか。もう自分の様な年になれば十代、二十代そこそこの婦女子ととは興味の対象など全く異なり話題も合わないのではないかと。実際合わないんですけど。そこを無理にでも合わせるとなるとどうすれば良いのでしょう。
 仮に安めぐみというお名前の23才の女性が同じ職場に居たとしましょうか。ふたまわり近くも年上の貴男は彼女を何と呼びますか。めぐみとサラリと呼び捨てにしますか。サラリといきますかな。あまりサラリと呼び捨てられる場合その男はゲイの様なニュアンスが何故か残る。もしくはゲイを装って若い婦女子の輪にキャッキャッと打ち解けようとしているさもしくも哀れな中年男のような。下の名前を呼び捨てるのが気不味いのなら上の名前はどうか。安めぐみに対して安と呼び捨てる。「ねぇ、安」、「安はさァ」などと。その場合その男は平尾昌晃の様なニュアンスが何故か残る。もしくは平尾昌晃を装って若い婦女子の輪にねぇねぇと打ち解けようとしているさもしくも哀れな中年男のような。上の名前も下の名前もダメなら安りんとかめぐプーとか他の誰も呼んでねえ勝手に考えたニックネームで呼びかけてはどうか。その場合友だち大募集中のアジア系留学生の様なニュアンスが残る。本当に本来それ程までにフレンドリーな性分かは当然疑われる。ここはシンプルに安さんでどうか。が、次第次第に止せばいいのにヤッサン呼ばわりされていくのはもう目に見えている。ヤッサンの写真集を日々枕元に隠す三十男。いや待て、安めぐみの安は安岡力也の秘蔵っ子で安めぐみか。無いとは言いきれないが有るとしてそれはいかがなものか。80年代顔の悪い形での裏付けか。安はさァ。