着ぐるみと間違えられた程の男である

11月20日、板橋周辺をウロウロと。地中海風インテリアの小さな喫茶店にもぐり込んでまずホットを一杯。三百五十円ならなかなかかと。白い壁にはsince1974と刻んである。新聞も毎日新聞って何となしに70年代的だと思った。こういう店も今となってはクラッシ―な印象を受けるような。
確か駒込周辺にも同じノリのサンレモなる70年代喫茶があったような。そちらはまだ入ったことがないのだがいかにもポール・モーリアなんか流れていそうで変にクセになりそうである。70年代に若きニューファミリーが始めた街の小さな喫茶店の店主は当然そろそろ初老の夫婦となっている。
テーマパークとしての70年代ノリではなく只なんとなくズルズルとあの時代を引きずっているだけというのがいい。願わくばこれから先も只なんとなくズルズルと営業を続けていて欲しいと思うのだが。店の名前はモカか。地中海風インテリアの白い壁に真っ黄色に変色したアグネス・ラムのパネルが飾ってあれば文句無し。いやホット珈琲も充分いけるが。
帰りは板橋書店なる古本屋でつのだひろのエッセイ本『パパはソウルマン』を四百円で入手。これを夕方までピラピラ読んでるうちに4時からつのだひろのDJを聴くとするかと。
で、読んだ。一番おののいたのはつのだひろの生家は「貧乏人の子沢山とはよく言ったもので、御多分にもれず赤貧の家庭である」というくだりであった。以前私はこの場につのだひろの若き日のポートレイトは今田耕司に激似だがそういえば共にお寺の子で当然裕福でなどと知ったか文を書き飛ばしていたがこれは誤りだったのだ。
じゃあなぜに私はつのだひろの生家がお寺なんぞと思い込んでしまったのか。実兄のつのだじろうが住職のようなスタイルの服を着て心霊関係の番組に出演する姿を何度か観ているからか。いや本書を読んでもつのだじろうのことは何も書かれていない。つのだじろうがつのだひろの実兄ということも私の勝手な思い込みなのか。
プロの料理人にひけを取らぬ料理好きで動物好きGS時代に既にバンドボーイを抱える一流プレイヤーでありドラム講師としてのキャリアも多岐にわたるということ。当然弟子も多いかとも思うが本書には個人名は出てこない。
本人が名前を伏せているものをまた勝手なことを書くが確かARBのキースは古くからの教え子だったような。弟子は弟子なのだけど本書が発表された98年にはそのことは口外しにくい状況があったのかとも。ドラマーじゃなくて元懐メロ歌手のお笑いタレントと思われてるみたいとの嘆きにも感銘。