マシュマロマンはどマイナーである

7月20日、新文芸座にて『追悼 テレビが生んだ昭和の笑マン 植木等』の最終回にあたる『逆噴射家族』(84年東宝=ATG)を観る。本特集は60年代のクレイジー作品を中心に2週間日替りで上映されてきた。が、最後の最後まで笑マン植木等との別れを惜しんで通いつめたオールドファンに『逆噴射家族』をぶちかますとは。文芸座だからいいかなどと妙に納得したり。
本作を80年代に文芸座ル・ピリエで観たのは最早半々世紀近く前のことになる。よく本作に出演している工藤夕貴をメジャーデビュー前をいいことに胸ポッチの水着姿を緊縛されたりしたい放題の演出に半泣きで耐えてみたいな寸評を目にする。しかし当時工藤夕貴はマイナーだったのかなとも思う。当時のメジャーが今言うメジャーと大分意味合いが違うような。工藤夕貴に限らず少女隊やらパンジーやら数億近くの費用をつぎ込んで売り出すのだからこれがメジャーでなくて何がメジャーかといった送り手側のねじふせが少なからずあの時代あったような。宣伝費に億の金をといった鳴り物があまり鳴り足らなくなると当人の体に保険金をさらに億積み上げて売り出しますといった一方的っちゃ一方的な戦略にもそれなりに反響があったグロい時代。
さて工藤夕貴は当時メジャーであったかマイナーであったか。私には『逆噴射家族』の工藤夕貴はメジャーであり『戦争と青春』の工藤夕貴はややメジャーかと。『ミステリー・トレイン』の工藤夕貴はややマイナーであり『野生時代』、『お湯をかける少女』の工藤夕貴はどマイナーだと思える。どうも多額の資金を投じる送り手側の品格、精神性のようなものが作品のメジャー感を左右するような気が私にはする。
工藤夕貴も少女隊も何のこっちゃな世代に何のこっちゃついでに『パンダ物語』の話題でも?あの映画も今思えばマイナーな。そして今思えばそんなに制作費かかってなかったんじゃなかろうか当時の中国ロケ作品のほとんどが。そういう作品ばかり集めた映画祭があってもいいなと。今思えばウソ丸出しの宣伝文や当時の人気アイドルの実弟実妹というだけで強引に主役をあずけて撮ったがやはりそれだけの作品などをまとめて嫌というほど楽しみたいような。
そんな映画祭の喫煙所には石原良純主演デビュー作『凶弾』のポスターが。おいおい『凶弾』もやるのかよとあわててプログラムをめくる。『凶弾』はかからない。そんな気のきいた映画祭やオールナイト上映があれば年甲斐もなく足を運んでみたい。アイドル俳優、石原良純の遺影を胸に抱きつつも。