人情は無残にするりと改装中である

8月15日、高田馬場にするりと。駅前の「BOX」が改装中だった。あのスポーツマンの壁画も無くなってしまうのか。あんな物に何の思い出も染みこんではいないが。反対側の質屋の屋上にあったモンローと力士が噴水の前でにらみ合っているまったく訳のわからないオブジェこそ残しておいて欲しかったが。確かオープニングであのオブジェがのんべんだらりと撮られている日活ロマンポルノ作品があったような。それは神代辰巳の有名な作品ですよなどと耳打ちしてくれる番頭もいないと。ひとり静かに早稲田松竹へ。
その前に上野アメ横にもあるアダルトビデオの店へするりと。どうも最近この種の店に寄ると最新作コーナーよりもメモリアルコーナーの方に足が向いてしまうのは。小林ひとみとか昔も今もあまり好きじゃねえなァなどと非生産的なことをつらつら考えて。当時結構人気あったし一時代築いた感もあったが今こうしたメモリアルコーナーに影も形もないAV女優は少なくないが。
そうした女優陣がなぜ今メモリアル化されないのかといえばそれは多分その後メーカーの有力者と有力的な関係を結びワンランクもトゥランクも上流な生活を送っているからだろう。隣近所の住民同士は昔のAV作品を回し観たりしていて上流な生活もそれなりにくすみ汚れてはいるのだが。だが食うや食わずでムサイ男優に体をむさぼられええかええのんかささやかれワニと獣姦させられもした過去だけは今さら商品化させてくれるなと。その位の甲斐性あんたにだってあるでしょうにと。あぁ、まあということでメーカー側はその女優の過去の作品については市場に出さないことにしているのだなと。
と、いうことは今現在もこうしたメモリアルコーナーに並んでいるなつかしのAV女優たちというのはその後もまったく有力者と有力的な関係を結べなかったということかとも。今だ食うや食わずかとも。豊丸?なつかしのAV女優たちをこうしたメモリアルコーナーで秋葉のごとくエロ仕掛けの手売りに呼んでみては。立ち会い出産みたいなグロな発案かしら。豊丸?救えない連中も救えない自分も忘れて早稲田松竹へ。
山中貞雄の『人情紙風船』を三度目位に観た。河原崎長十郎に名前も顔もよく似た俳優が70年代にも活躍していたっけなどと物を知らないにも程があるかもしれないことをぼんやり思って。知らなくたって活躍してたのは覚えてるのだからいいじゃないかとも思って。豊丸ばかり興味本位にいじくるなよとも思って。メーカーの有力者と有力的な家庭を築かれた皆様に幸あれと。ジーザス栗と何よ。