随時まくしたて早二十年である

12月11日、王子駅周辺をウロチョロ。トランジスタラジオをイヤホンで聴きながら主に商店街を徘徊するこのスタイルはどうか。まだ少し早いのではないか。このスタイルにノンブランドの背広と野球帽と紙袋があれば何というか完成ではないのか。四十歳でもう完成か。まだ少し早いのではないか。んなこと考えつつなじみの大衆中華でニラソバを食べつつNHK-FM『歌謡スクランブル』の阿久悠特集を。
FMって何かこのスタイルには違うか。やっぱAMか。気ままなジャンボか。ジャンボはもう仕事してないし。ジャンボ周辺何だか大変そうだし。近石真介さんとか。あののんべんだらりとしたダメダメムードの昼のAM群にも実は賞味期限があったのだなァとしみじみ。が、それ考えたら大沢悠里なんて本当に戦後最強のモンスターでは。
豊島五丁目団地を抜けて河沿いの土手をもっとウロチョロ。ピンクのスウェット姿の女のコが泣きべそをかいて土手にうずくまり隣に座っている坊主頭の学生服の彼氏に何かグチっている。それを見ていやいいものだと思ってしまった。私にも青春があったみたいなこと素直に思い描いてしまった。実にフォーキーな。素肌にオーバーオールのかとうれいこと浜辺で麦わら帽子を追いかけたいような。そんな汁っ気まだ残っているのか。残ってないから懐かしいのか。ついには枯れたなぁ。枯れすすきだなぁと中央図書館へ。
何の気なしにタレント名鑑をめくったり。AV女優群は名鑑には出ていないよう。でもAV出身で今はタレントなんて人たちはどうなのかしら。ロマンポルノ出身のベテラン女優である宮下順子は出てる。出てるけど宣材写真がもうそろそろおばあちゃんといった感の。老け役狙いでわざと使っているんだろか。
広告ページにラジオ日本『夏木ゆたかのホット歌謡曲』の広告が。夏木ゆたかねぇなどと何故か感心して外に出てちょうど放送開始時刻である『ホット歌謡曲』にダイヤルを合わすと。夏木ゆたかが当然まくしたてている。まくしたてない夏木ゆたかは夏木ゆたかじゃないだろうと思うが。思うが夏木ゆたかだってもう五十歳はとうに過ぎているのでは。『やすしの度胸一発』で堀江しのぶと街頭レポートを担当していたのはもう20年以上前のこと。20年まくしたて続ける夏木ゆたかの異常な若さにひくりとおののく。大沢悠里に続くモンスターは夏木ゆたかで決まりだなと一人勝手にうなづく。私と同世代のやさぐれ中年層にはもうダメだと思ったら夏木ゆたかを聴けといいたい。泣きたくなったら夏木ゆたかの胸で思いきり泣けと。随時。