小染師匠も最後列で観てたんである

7月9日、神保町シアターにて『ヤングおー!おー!日本のジョウシキでーす』を観る。73年東映作品だが公開後まったくお蔵状態だった幻の映画だったとか。そんなレアなものならぜひにもと思ったのだが。
内容は当時の東映ポルノ女優と吉本若手(当時)芸人による乱痴気大宴会というか。まだニキビ面の大学生役で登場するサニーこと桂三枝はこの時点では売り出し中のアイドルだったのかもしれない。笑福亭仁鶴がそうした若手に混ざってというかみずから先導して女優と乳クリ合う場面なども私の世代にはショックっちゃショックというか。モンキーズの映画でメンバーが全裸でおちゃらけてる場面がファンにはショックだろうという理由で日本には上陸しなかったことと同じ背景かなとも。
一応のストーリーといえばうだつの上がらぬ若者集団のリーダーである岡八郎が日本を捨て世界を旅しながらビッグチャンスをモノにしたるという今も昔も変らぬ希望に燃え始める。が、いつの間にか助平な親父相手に買春ツアーのコンダクターのようなことを自分たちも半分客になって陽気に展開していたり。それが結構な収益を生み始めたところに暴力の方々がおのれら誰に断ってとネジ込みビッグチャンスは夢と消えるといったような。
中田カフスボタンが警察官の扮装でただ現れ消える。と、喜劇作品としてはお蔵で充分な不出来なのだが。人気番組『ヤングおー!おー!』の貴重な記録映画としてはやはりかなりレア。朱里エイコの圧巻のステージングには客席でキュンとなる若きやすきよ同様にシビれてしまった。が、本作中何となく気になったのはそうした吉本芸人が番組の会場や街頭の中で演じる場面に現れる際にすぐ隣に位置するたまたまそこに居た風のガヤの顔がダブっていること。
どのシーンにもサニーや坂田利夫のすぐ隣にたまたま居る素人の女のコが当時流行のトンボのサングラスに派手なパンタロン姿だったりして写る気満々のような。何か見えない大きな力で出演者の隣にピースさえしなけりゃ常に写っていてもよい立場にいられた彼女らを当時の東映京都は黙認したがその後あれはどうかと改めたのか。
ひょうきん族より10年先に劇場映画でこれだけ遊び倒した『ヤングおー!おー!』の影響力とはそれだけ強大なものであったか。大阪万博だってあったじゃないかと寝ボケたようなことを今頃思い出した。今現在の北京オリンピック並にとてつもない嵐の過ぎたばかりのドサクサ騒ぎがまだ残っていた時代の証明写真ともいえる本作がなぜ今解禁されたのか。ブラック会社の社内研修にいるような。