別れろ切れろは午後3時開演である

7月20日ラピュタ阿佐ヶ谷にて『愛しながらの別れ』(65年日活)を観る。浜田光夫和泉雅子の青春スターコンビによる悲恋もの。和泉雅子のできたてのボーイフレンドである浜田光夫暴力団のパシリをしていたことを知った家族は離縁をすすめる。対抗勢力とつながりのある不良グループのリーダーである山内賢和泉雅子の兄。当然のごとく浜田光夫を敵視しつるし上げ騒ぎが大きくなるなかで和泉雅子はケガで入院してしまう。病室のベッドで浜田光夫を待つ和泉雅子。そのとき浜田光夫は不良仲間からの内ゲバにあい結果的には手を汚してしまったところで警官に取り押さえられる。70年代の赤いシリーズくらいまでは脈々と続いた平凡なヒロインと黒社会出身の恋人との泥沼恋愛劇だが。さほど楽しみでもなかったこんな映画を観たのは午後3時に西川口テアトルに大崎悠里を観に行くためのワンクッションにと思ったから。60年代の日活青春スターの気分で目当てのショーガールに再会すべく西川口へ。テアトルは通りから見ると場末の安スナックのようだが中は案外ゆったりしていてミニシアターにありがちな息苦しさはない。児童向き遊園地の人形劇シアターのような内装で割と落ち着く。小屋に着いた時にはトップの娘が引き上げるところで大崎悠里の出番は次の次だった。テアトルの舞台には暗幕というものがない。舞台の左右に玄関扉のようなドアがありそこをガチャリとあけてタレントは登場する。出張風俗のようなイメージで演出されたものか設計士の遊び心かはわからない。アットホームな感じはする。隣のお姉さん的な80年代のエロティシズムかなとも思ったが。考えてみれば私が大崎悠里を西川口まで追いかけたその訳も隣のお姉さん的な彼女の芸風に反応してのことかと。そして大崎悠里の登場。サンバコスチュームで熟練のダンスショーが終わるといったん楽屋でメガネをかけてからボヤキが始まった。今日は楽日なのに客入りは4割弱とは西川口危うしだねなどと汗まみれの乳から脇の下を笑いながらボリボリかくそのアプローチについエレクト。大体幕間のトークで本番とは真逆の庶民的キャラクターで再登場というのはどのタレントも使う手なのだが。大崎悠里のそれはレベルが違うというか。幼少期に近所の主婦が自分の視線など気にせずお昼食べてけばなどとストッキングを丸める姿に感じたあのピクンときた一瞬。あれをもし意識的に再現しようとしているのだとしたら女版イッセー尾形とでも呼びたい高度な密室コントだが。ともかく応援していることだけこの夜彼女に付け文す。