知らぬ存ぜぬは許されないという

2月28日、自宅から歩いて片道30分の所にようやく見えるセブンイレブンに。夕刊フジを買って帰る。芸能コラム面に復活してほしい音楽番組などとありつらつら読む。ランキングが第一位は『ザ・ベストテン』。第二位は『夜のヒットスタジオ』第三位の『ポップジャム』っていつ終わったのか覚えてないなと。
夜ヒットといえば最近ラジオで吉田豪新沼謙治にインタビューした際のこぼれ話が少し面白かった。スターどっきりの常連でしたよねと質問されるとあれは夜ヒットに出るため仕方なくだまされ続けていたのだとか。夜ヒットとスターどっきりは同じ制作会社だったから夜ヒットで新曲を歌わせてもらうリスクとしてスターどっきりにも出なきゃいけない構造だったと。それを聞いて私は長いこと不思議に思っていたあのスターどっきりの中に時折企画される格好良すぎるどっきりのからくりがわかった気がした。
格好良すぎるどっきりとは例えば有名アイドルが移動中の列車の中でチンピラにからまれている女性にたまらず助けに入るような展開のもの。いかにも東映系の大部屋俳優たちに何か文句あんのかコラ、おっ手前どっかで見たことあるななどとスゴまれても意外にも堂々とやり合う。何だよ、俺か、タレントだよなどと。いい加減にしねえかダニども、クソどもとスキンヘッドをこずき返す野口五郎風間トオルを見て当時としてもなんだかドラマ仕立てな感があったのだが。
今思えばひ弱なイメージのタレントに限ってだまされてしまうあの企画ははっきり当人を持ち上げるおべっかだ。中には自分はそんなに向こう見ずでも格好良くもない、いやこんなもの本当は格好良くなんかないよ大人としてと主張したかったタレントもいたのかもしれない。風間トオルがそうだったとはあまり思えない。むしろノリにノッて実は弱い立場の大部屋俳優をこずき回していたような。
ブラザーコーンSMAPのメンバーに説教を始めるとキムタクだけが待ってくださいよなどと立ち上がって反論する回もあった。あれを観てキムタク見直しちゃったというファンもいたのだろうか。イメージ戦略に実際なってたのかなと改めて疑問なのだが。そうした企画を振る制作者はもしかしたら紅白に出させてヤル側の人間の何分の一かの優越感を持っていたのかもしれない。格好良すぎるどっきりに出して欲しくばここはギブアンドテイクと行きましょうやなどとレイバーンをずり下げて唇を歪めていたかもしれないその制作者を今更吊し上げる方が復活夜ヒットより面白いと私は思う。奥崎謙三のようなキャラの司会が見つかれば。