ここ一ト月同じ様な生活を送っていた

4月6日、夕刻のラジオニュースで本日午後未明に東京、江古田のマンションでボヤが発生、同じ頃に近隣のアパート内でも出火したが共に一人暮らしの三十代女性と四十代男性で特にケガもなく無事救出云々と。私はそれを聞いてこの男女は恐らくここ一ト月同じ様な生活を送っていたのではと思った。つまり先月11日の地震の直後に心身喪失しとてもじゃないが翌日からは職場に顔を出せなくなって自宅に引きこもったのだなと。
その後は日に日にゴミ御殿化する自宅でアルコールや薬物にすがりつつ只うごめいている内にそんなことになってしまったのではと。同じ様な境界線上の人々が現在も大勢いるのかも知れない。先月末のNHK−FMの大貫妙子トーク番組に南極料理人、西村淳がゲストで出演した。極限状態を生き抜く心がまえみたいなものってあるんでしょうかという質問に西村氏はあまり先のことは考えないこと、昨日やりたかったことを今日やる、今日やり残したことを明日やるだけでいいと答えていたが。ならば私もそれでいこうと先月の手帳をめくり返してみる。
地震の前にはツタヤで『古代少女ドグちゃん』の映画版をレンタルしている。特撮ヒーローコーナーに『人造人間キカイダー』があったので今度借りるべしなどと。仕方なく『人造人間キカイダー』を借りて観る。本作は数年前にハワイで放映されたところ異常人気となり日本から出演者を招いてイベントが開かれるなどしたという。何がそんなにウケたのだろう。フラワーチルドレンの様な格好の日本人がダリやピカソの抽象画を思わせる造形のアクションヒーローに変身する。敵役は自然環境の厳しい国の神仏の様に不細工といった設定が馬鹿馬鹿し過ぎてよろしいとか。スウィッチオン、チェーンジといった片言英語の連呼が途上国のポン引きみたいでたまらんとか。
そういえばキカイダーの決め技である「デーンジエーンド」は第一話ではまだ「ジエーンド」なのだ。もうおしまいと叫びつつフライングチョップをあびせるヒーロー。爆発する焼け焦げた配電盤。これらをヒィーヒィーもだえつつ観ていたハワイの人々のことを思う。今改めて彼国の人々に何かメッセージを送れないものかと。やっぱり『古代少女ドグちゃん』の井口昇監督なぞはその先のまた先の濃厚なサービスに知恵をしぼっているのだろうなと。『人造人間キカイダー』より狂った爆笑活劇がまた日本からやってきたともなれば彼国の人々もさすがに震えあがるのではと。てなわけで『電人ザボーガー』に大期待。