本作に登場する松坂慶子は勿論のちの

7月27日、『ウルトラセブン』第31話『悪魔の住む花』をDVDで観る。脚本、上原正三松坂慶子演じる少女が仲のいいお友だち二人とお花畑でおしゃべりをしている。少女がふと拾い上げた卵のからにくちづけをすると。突然意識を失った少女は病院に運ばれるがその後吸血鬼と化して。本作が私の記憶の中の最も古いというか一番初めの『ウルトラセブン』だ。すでに昼間の再放送で夏休みの最中だったような。本作に登場する松坂慶子は勿論のちの松坂慶子なのだが『愛の水中花』の頃とは少し面立ちが違う。少し違うがよく見るとやはり松坂慶子なのだが。はっきり言って不細工で演技も鈍重である。けれど演出上は警備隊の男たちもうっとりするような性的魅力のある妖精のごとく描かれている。私は80年代の初めに田中美奈子が美少女コンクールのようなもので準グランプリに選ばれた時の記事を思い出していた。その時の田中美奈子もその後の田中美奈子とは少し違う。ま、不細工だった。『悪魔の住む花』の松坂慶子を四十年ぶりに観直してみてやっぱり面影あるなァとほっこりしないでもないが。宇宙細菌ダリ―にボディスナッチャーズされた少女役の松坂慶子の唇から真っ赤な血が一筋流れるショットにもしやとも思う。これを観た瞬間に幼年期の私の中に松坂慶子はエロティックな妖精というイメージが巣食っていたのでは。巣食って悪かったかと言われれば別に悪くはないが。『愛の水中花』の時にいや待てよと『悪魔の住む花』に戻ってみる余裕が当時はなかった。宇宙細菌ダリ―とミクロ化したセブンが格闘する人間の体内、つまり松坂慶子の体内の造形はピンク、紫を基調にしたいかにも官能的な色使いでオークラ映画のタイトルを思わせる。そんなピンクゾーンで格闘が続くなかベッドの上の松坂慶子はアン、アアンなどと小さくうめく。大丈夫かと問いかける隊員らの目は据わっている。こんな熱のこもった演出をされるくらいだから当時の子役、松坂慶子にはそれ相応の官能があったのだろう。ただそれはまだ小さな光で受け手側に届くまでは十余年かかった。田中美奈子にもいや不細工どころかこれはとその小さな光に反応した誰某の強力なプッシュが当時あったはずである。強力なプッシュ。というフレーズを聞くと私は団優太などのトレンディドラマの仇花を思い出してしまうが。あんまり他方面からプッシュされても刷り過ぎというか百鬼夜行というか。しかしそんな時代は長くは続かなくてホッとしたよと思っているのはうらぶれた四十男の私だけ。続いてゆく。