モア・セクシーでも個人の自由である

 お正月のテレビの特番で畑中葉子を見た。お正月といっても七日の晩で、特番といっても奥様向けの情報番組だったが小一時間足らずの。畑中葉子はその中で一般の主婦らに混ざってとある病院の医師が推める最新ダイエットに挑む。よくある企画である。レオタード姿で体重計に乗り、現在の体重は65キロなどとナレーションされて真横からのおデブな体型丸映しカットが流れるという。

 あれを素人に混ざって畑中葉子がトライすることは今ではそれほどショッキングでも何でもないことかも知れぬ。が、明らかに心踊っていたのが当の病院の医師。バスローブ姿であたしにできるかなぁ。自信ないようなどと猫なでる40代の畑中に何で何で大丈夫などとデレデレなのだ。おそらくあの医師は畑中のロマンポルノ出演作を劇場で見ている世代だ。ピンク映画が貧乏学生の娯楽の一つだった時代の若者である。今に立派な医師になって畑中葉子みたいな看護婦をひいひい言わすんだ俺ァか何か熱く心に誓った若者だったはずである。思わぬ時、思わぬ場所で夢は叶った。おめでとう先生。先生は良かったが畑中のほうはしかしこれで何が良かったのだろう。これを企画に女優復帰ということか。何だか最近の辻沢杏子とかイヴちゃんの復帰ヌードに近いものを感じる。復帰したくなさ気なのにとりあえず出てくる。脱ぐ。何ちゅ事ない。本人が一番シラケてるような。それでも中には前述の医師のようなねちっこいファンは居るのだ必ず。はっきり言ってモー娘やイエローキャブ軍団よりずっといいのだ辻沢杏子やイヴちゃんのほうが。そうした人々にとっては。ついでだから家主のエイチも未だに比企理恵がたまらんなどと私には告白する。私も仕方なく三東ルシア以外の女によるチンピクなど本当の意味でチンピクと言えないかも知れんと告白する。男の世界。

 そう言えば十五年以上前のピンク映画の上映館の中では観客席で男ならすぐ気付くショッキングな光景があった。スクリーンを観ながら40代50代のオジサン達が堂々とズボンをずり下げパンツの中のものを可愛がり始めるという。変質者ではなく普通のオジサンである。当時の普通のオジサン。星セント・ルイス月の家円鏡(当時)みたいなルックスの普通のオジサンのそのような姿はひたすら怖かった。しかしピンク映画もたまには観たくなる気持ちの中にはあの怖さにもう一度触れたいというのもあるのかも知れない。という訳で今年もよろしく快楽亭ブラック