笑って笑って同い年である

 家主のエイチがせっかくひねり出してくれている原稿料があるのだからその金で観たり読んだりした評文を書いていれば良かったのだ今まで。やっと気づいた。取材費ね。そうとは気づかず毎日ロイヤルホストで肉を食い、サウナでネタ出ししてました。麻雀劇作家か私は。まあ何につぎ込もうとちゃんと原稿が上がればいいのだ。しかし今月はネタにもつまってしまい仕方なく去年の暮れの日記なぞ読み返している。

――12月2日 

駒込千駄木根津神社初参す。上野、不忍池の鴨を見る。ホームレスのフォーク歌謡にジンとして。帰りにホテル街の坂を歩く同世代の街娼。「週刊現代」にイヴちゃんの復帰ヌード。もう37才らしい。非常にきびしい。

――とまあそういう訳なんですわ。イヴちゃんは去年37才で今年38才ということらしいんである。ということは今の私とほぼ同世代である。もうちょっとイヴちゃんの方がいってるはずだと思うのだが。だが37才でヘアヌードから再出発を果たしたイヴちゃんに誰がそんなことが言えよう。イヴちゃんを守る会だって黙ってないだろう。守る会の内の一人だけでも何らかの業界の有力者になっていれば、ねえ。別にいいと思う。ある日突然早朝のゲートボール番組やヨガ教室やらフラダンス講座の司会がどういう訳かイヴちゃんだって。あれは何でも守る会が動いたらしいっすよか何かささやかれたとしても。イヴちゃんを守る会立派じゃない。何よ最後まで守りきったじゃない。そう言われる骨のある男達だったと思いたい。その逆ですかな。逆でしょうな。

 同じ12月の9日の日記。――千駄木のえぞ菊。雪の中をトボトボ歩く。酷寒の中で食べるミソラーメンが格別と聞いて試す。格別。上野。鴨が寒そう。ピンク映画館のポスターに中村京子。まだ現役とはお人好しというか。

――という訳なんだが中村京子のほうは事情が違った。つい先だって「散歩の達人」の新宿特集のバックナンバーをめくると、ゴールデン街に中村商店なる店がオープンした記事があった。中村商店のママは中村京子である。今年オープンした中村商店は業界モデル時代からの友人知人たちの溜まり場として出足順調らしい。この店をオープンにこぎつけるためにピンクに出演していたのか。強引に出演してギャラをふんだくったのか。ともかくイヴちゃんよりはまだ安心して見守ってられそうな中村京子のこれからである。私も一度行ってみようかしらん。ママは勿論常連客の中味もあの時代を知る者には濃厚かと。出前いってミルクの田代葉子は。菊島里子は。橋本杏子は。田中小実昌か私は。