あんたらウィークエンダーである

 エイチが私宅に毎月送ってくれる当コラムの訪客リストに目を通す。と、週計ではダントツ土曜日が大入りデーのようだ。土曜日には時間を持て余してこのような僻地にまで滑り込む週末サーファーの皆様今晩は。お今晩は。週末はどうでしょう。エイチの少年時代、土曜の夜の楽しみは寝床で「ウィークエンダー」を観る事だったとか。私もその程度であった。原久美子系のウェットな抑えた色気のあるレポーターが楽しみであった。原久美子系の女性レポーターしか担当できなかったのは多分誰か一人の全く個人的な好みというか趣味だったはずだと思うとやや不快。その誰かが最後に育てたのが実は原久美子なんですけどねと言われたりしたら閉口するが。原久美子なんてもうどうでもいいとは思っていない人々も多いだろう。低血圧と少しばかりの不幸の匂いにハフハフ反応する男はいつの時代にも存在する。存在するし結構何でも持ってるそういう男連中。何とかしてやれば原久美子。昼ドラの世間知らずな軽井沢夫人役とか。馬込沢夫人くらいかなこのご時世では。

 で、再現フィルムに話は戻るがあれを今もう一度観ることはできないのだろうか。フィルムセンターにも所蔵されていないのだろうか。そもそも誰が撮っていたのか。日活の教育映画のエンドロールの中にロマンポルノのスタッフの名前を発見した時のような妙な感激にひたりたいのだが。ウィークエンダーの台本なんて今強引に入手したらどのくらいふんだくられるのか。しかし男優人はロマンポルノの常連バイプレーヤーだったと記憶する。スタッフも多分ロマンポルノ系だったと思うのだが。もし仮に今頃になって再現フィルムの製作者達の名前がオープンになるとややこしくなるのだろうか。ウルトラシリーズみたいに第何回と何回は相米慎二が撮ってましたとか。脚本は白鳥あかねがアルバイトで書き飛ばしてましたとか。でも売れると思うのだが再現フィルムBOXセット。台本とロゴステッカー付きで二万円弱なら今の三十男の5人に1人は買う。5人に1人はその程度。その程度の中に私も入る。お色気番組の絶滅した土曜の夜はその程度の男達には寒すぎるのだ。オッパイとオシリがあればいいって物じゃなくって何というか、ねぇ。もっと勿体ぶった陰惨なエロ。背広を着たエロ。そういうの求めちゃっちゃわない。「ウィークエンダー」を寝床で親父と観ていたか貧乏下宿のポータブルテレビで観ていたかの違い。ただそれだけの男の違い。