ティーンの為の秘密基地なんである

 正月は郷里である茨城県鹿島市へ。正確には郷里ではなく年寄ってきた両親がごく最近移り住んだ土地である。毎年のように一晩泊まった翌朝は海が近いのが私には珍しいので一人とぼとぼ散歩してみる。そして帰りは必ず迷子になる。稲川淳二のアトリエがあるということ以外全く特徴の無い別荘地である。似たり寄ったりのモダーンな木造住宅が点在する他は空き地、もしくは農園、もしくは産廃の山であるから一度迷い込むと右も左も見失う富士の樹海のよう。最近プレミアムが付きつつある芝居してるAV時代のモデルに林樹果なんていたなと。林樹果はカントリーで油っこくて良かったが鹿島の樹海で迷子はいい年して恥ずかしいのである。しかしその迷子状態の中で私は珍奇な物件に出くわしたのである。

 ホテル×××などとファンシー調のピンクの絵看板がウサギ小屋を囲むフェンスに立っている。ウサギ小屋は中学時代の林間学校で利用するあの高原のバンガローくらいの大きさ。いやもっと小さい。四畳半のまた半分、身障者用トイレを縦にしたような異空間である。そのウサギ小屋の屋根もまたピンクに塗られていた。そして中には人の気配があったのだ。ウサギ小屋のホテルは一泊三千円、休憩二千円とプライスも大ざっぱだ。私がそこに立ったのは正午近くであったから利用客のほとんどは泊り客である。大人二人が息をつまらせやっと身体を押し込めるくらいの小屋の中で夜明かしするのは忍耐のいることであろう。ふと私は思った。小屋の中で今も乳クリ合うウサギ達はいずれもまだほんの仔ウサギちゃんではあるまいか。お年玉を握りしめて鹿島新宮に友達と初詣に行くと親ウサギには言いわけして男友達とこんな所でまったく。違う初詣をまったくと上島竜兵ばりに半ベソかきつつ私はウサギ小屋を後にした。

 田舎の若者の方がこういうところアミューズメントしてて楽しいよね。いかがわしい店もあるにはあるがそれが荒地の真中にポツンとただ一軒掘っ建っているのだ。外からはモロ見えである。その場に遊びに行く者も勤める者も恥も外聞もない。外聞はない。イタチかイノシシ間の外聞くらいしか。フリーダム北関東。なんだかこれほどまでに田舎のおおらかさ、あけっぴろげなおっぴろげジャーンプな様子を見せつけられてしまうと。逆にほんまかいなと疑ってしまう。松金洋子が茨城出身だとか。誰か考えたんじゃないか。ジョージ秋山とか遊人とかコミック畑のエロブレーンが付いてるんじゃないかとか。オリンピック選手みたいに幼少のみぎりから親元を離れてそうしたコーチの元で過酷な練習にその。練習って?