それが大人の世界というものである

 2月23日、神保町タクトにて「つのだ・ひろ THE BEST」を入手。71年から74年までのロック色の濃い内容。NHK−FMでディスクジョッキーを務めるつのだ・ひろの放送を時間があればなるべく聴くことにしているのだが。先だっての放送の中でゴールデン・カップスには正式に加入していた時期があったはずなのに映画にも関連書籍にも自身の名が一度たりとも出てこないとか。「チャンチャンでしたね、ガハハッ」と笑っちゃいたが複雑な胸中は察することができた。
 ゴールデン・カップスの現在の運営陣がどういう理由でつのだ・ひろを亡霊扱いするのか私には全く想像つかない。つのだ・ひろにどうのこうのは無いが互いの運営陣が対立関係にあるのだろうか。プロ野球に関して全く無知な私が大分以前に野球好きの家主のエイチに合わせたつもりで今度の藤田監督はふところが深くて人情家なんだねぇなどと言ったことがあった。エイチは藤田監督の技量を評価しながらもだけどあの人もミスターの後継者になるだろう選手は飼い殺しにしてるからその点は世間並の俗物だと語った。それと似たことがカップスとつのだ・ひろの間に今起きているのかとも。
 個人的には再成カップスに今のつのだ・ひろが加わったサウンドに興味がつきないという訳でもないが。肖像権の位置がわやくちゃでテレビ画面の中では放送禁止であった一時期の長州力みたいな時期がつのだ・ひろにもポッカリ出現してしまったことがやや残念かとも。そういうモザイクな活動期に逆にプレミアムがはね上がってしまう例が少なくないからだ。多分もうその動きはあると思う。つのだ・ひろ参加時期のライブ録音なぞ秘蔵している人物は現在のこの状況に万々歳ではないのか。逆に和解されちゃ困るともはっきりと思っているのではないか。
 しかし亡霊化されたつのだ・ひろの演奏が聴ける音源を法律上のディフェンスも整え市場に登場させてそれが売れに売れてしまったらどうだろう。再成カップスにつのだ・ひろは急遽参加するのではないか。あたかも初めから何のわだかまりも無きかのごとく。つのだ・ひろもちゃんと出演している再編集の映画がDVDになり関連書籍にもしっかりつのだ・ひろは出ているのでは。それが大人の世界というものだ。
 ところで70年代初めの頃のつのだ・ひろジャケ写の表情はまだ若者らしくツッパッテイル。今田耕司に少し似てるなと思ったがどちらも実家がお寺だった。裕福な家の不良はカップスにもう一人。エディ藩か。エディと何かあったんじゃんと浜っ子風に一人ごちる。