子供が人気アイドルじゃなくて

10月1日、ツタヤのセルコーナーでティアラのボピボピを買う。現行のアイドルの最新シングルを自分のために入手したのは十何年振りか。K−POPなんて本当にいいと思っているのかと問われるとそこは灰色層。通常盤でよろしかったですかとカウンターで店員に問われるも半笑いで特典目当ての中学生と一緒に並びながらえぇ、まぁなどと。通常盤にもお義理で付いていたのはシリアルナンバーの入ったHYOMINのカード。ヒョミンと示すのだろうか。ヒョミンが一番カワイイね、俺はヒョミンと四十面下げて正気で言ってるのかと問われると。ファンクラブの案内やイベントの告知も歌詞カードにはさんであったが。握手会ではなくハイタッチ会というのが時代かなと。注意事項にはハイタッチ会では握手、ハグ、サイン等ハイタッチ以外の行為は禁止とさせていただきますとある。その辺は私も詳しい。ハイタッチ会をスムースに進行する上でスタッフがお客様の肩等に触れて誘導をお願いする場合がございますともあるが。これは新宿TSの方が百倍気分よく観覧できそうである。アイドルのイベントに出かけて事故に巻き込まれたりする年頃の子供がいなくてよかったし子供が人気アイドルじゃなくてよかった。いやティアラの良さも楽曲止まり程の理解度で助かったような。十余年前、私は文教堂のカウンターに立ちモー娘ファンの中高生らに接客していた。常連客の中にモリタカさんと呼ばれていた四十代半ばの男性客がいた。森高千里のシングル、アルバムの発売日が近づくと必ず予約にやってくるその男性は90年代初めくらいまでヤッチャン先生、金ピカ先生などと親しまれた進学塾講師に似ていた。が金ピカ先生ほど金回りはよくないようで茶封筒にバラ銭を溜めた中味をモリタカさんと一緒に数えるときの私の胸中は複雑だった。止めときなよアンタだまされてんだよあの女にと。自分のFM番組に小林克也がゲストで来たときの相づちの打ち方がひどく投げやりでそんなことでヒヤヒヤしてる連中にこそ実は中指を立てている女だなと。じゃ克也さん関係ないだろ、福田一郎なんかもっと関係なくてホッとしてんだろ、わかったと。その後、モリタカさんは森高千里の結婚発表と同時に我々の前から姿を消した。今のモリタカさんがK−POPに夢中でいてくれればそれはそれでいいがそれでは急死したアイドルに天国で思いきり歌ってくださいといった結びと同様になるなとも。天国で思いっきり歌って欲しい人たちが頼んでもいない歌を半ば押し売りし続けているのが十余年前からの現状であって。