花形選手の森田水絵に勝利して

9月30日、ツタヤで借りた『はみ出しスクール水着』のDVDを観る。80年代半ばのとあるろくでもない休日の昼下がり大塚名画座の地階で家主のエイチと観たような。地下の劇場に続く階段の踊り場に主演女優、清里めぐみの等身大パネルが飾ってあったような。そんなことを今も覚えている私は清里めぐみのファンだった。文庫版のポケット写真集をポケットにしのばせて二人だけのデートを繰り返したものだ。
本作の監督、滝田洋二郎はその後清里めぐみと結婚した。ならば今や世界の滝田洋二郎のファーストレディなのかどうかはわからない。そんなことちょっと調べればすぐわかるのだが調べない。私は『はみ出しスクール水着』の清里めぐみを応援することにした。当時のグッズや関連書籍を買い集めて思い出にふけるという意味ではなくして。『はみ出しスクール水着』に反応したその瞬間の自分を正確に取り戻そうと思うのである。
都内のとある高校のシンクロナイズドスイミング部のお荷物だった清里めぐみが花形選手の森田水絵に勝利してオリンピックへの切符を手に入れるまでを描いた本作だが。京王線参宮橋駅が登場したので高校の校舎に見立てたのはオリンピックセンターだとすぐわかった。素人劇団が稽古場に利用するリーズナブルな簡易施設でのゲリラ撮りかと。当時の成人映画なぞすべてがゲリラ撮りみたいなもので何かもめたら前線に立たされるのが本作なら監督助手の瀬々敬久。オープニングでそのクレジットを見たときにはロマンポルノに賭ける青春か、何ともうらやましいと思いかけたが。
当時オールナイトフジに出演していた女子大生の一人が森田水絵に似ていてつたないコメントの後で森田水絵でしたと茶々が入るとやめてくださいもうとその場にくずれるシーンを覚えている。本作の森田水絵も今改めて観ると痛々しく風当たりの激しさを感ず。清里めぐみの無邪気な明るさはそれだけで逸材だったなと。しかし20余年振りに再観した本作にも例によって私の記憶違いはあった。私の記憶ではシンクロ演技のシーンで使用されていた曲はキョンキョンの『なんてったってアイドル』かと思った。しかし今改めて観るとキョンキョンではない。
じゃあ誰が歌っているのか。清里めぐみ本人か。本人歌唱か。70年代まではメジャーなヒット曲を素材にした歌謡ポルノ作品もいくつかあったがもうこの頃にはそれも許されなかったのかと。しかし清里めぐみの壮絶な本人歌唱と精一杯のシンクロ演技には忘れかけていたカウパーが。これ問題ないかやはりちょっと調べておこうと。