喜劇出歯亀大戦争である

 加藤あいの盗撮ネタに連なるいかがわしい刷り逃げムックはまだまだ店頭に並び続けている。大手コンビニにも平然と並んでいるのはどんなものか。んなことボヤいても始まらないのだが記録として。加藤あいの盗撮ネタを目玉にしたいかがわしいムックが大手コンビニに売られていました。貴方もかわいそう。私はこの騒動が持ち上がった時点では、変にヒートアップして高部知子ニャンニャン写真事件みたいにならなければ良いが、と思っていた。ガールフレンドであったアイドル女優との寝室での痴態をスナップショットした写真を週刊誌に売ったあの少年。当時の若者のほとんどがそうであったように、私もあの少年のことを批難し、身近にいたならとっちめてやりたい思いに駆られてはいた。が、そんなことは少年の周りで隠しようがない非常事態であり、当然のごとく全く面識の無い人々から攻撃を繰り返されて彼は自殺してしまった。同様の悲劇が加藤あいの一連の騒動のラストシーンに起きてしまうのではと私は考えたのである。しかしどうもそのような展開にはならないようである。一つには登場人物の中に高部知子事件のような純粋無垢な人間が存在しないと。結局一人残らずタヌキであると。なんだかんだいって始めから終りまで出来レースで、刷り逃げムックの結構な収益金はともすれば登場人物全員で山分けするんじゃないかしらんと。撮った人、撮られた人、流出先、引き受け先から全員で。目線入りで出演した加藤の友人も含めてどっかのホテルで盛大にパーティーしてますよ。そんなもんですよ。そのくらい妄想スキップしてとらえないとあのバカ騒ぎ何というか……吐き気がするんですよ、俺。

 先日、巣鴨駅前をいつものごとく宿酔いで浮遊していた時のことである。人身事故だか何だかで列車は止まりホームには人があふれているご様子。そして線路端のフェンスにはごく普通の中年期の営業マンとおぼしきスーツ姿の男達が何人も何人もへばりついているではないか。グランド・ファンク・レイルロードじゃないんだから。ゴーゴーカニーラじゃないんだから。そう同世代ネタで突っ込みたいが、突っ込めば線路に落下しかねないので止めた。あの時の彼等の人身事故に食い入る姿をこそ盗撮しておきたかった。で、そのネタは寝かしとく。何年も何十年も寝かしといてその男の人生の晴れ舞台、締めくくりといった場面で公然にオープンさせてこます。娘の結婚式に男泣きするお父さんの背後のシルクスクリーンに鉄道自殺にエキサイトする出勤途中の若き日のお父さん。青春プレイバック、ねえ。