立場はフライヤー回収者である

 元々ナマの舞台を感激することが苦手だったはずの私。が、最近ではストリップやらサイレント映画上映会やらに毎月せっせと出かけて行きます。ナマ平気になったのか知らん。いや、やはり普通の下北辺りの小劇場に今再びもぐり込めば来るんじゃなかったと身を縮めることだろう。小劇場の何がツライのか。それは開演前の客席を右往左往する半分関係者みたいな連中が私の頭越しにドモドモとあいさつを交わしてくださる場面です。こないだ稽古場のぞいたんすよ、そしたら居なくて。ああいやゴメンゴメンか何か延々と立ち話する半分関係者達にとって眼下に身を縮める私とは。半分すらもこの舞台に関係の無いただのオーディエンス。でもそんなたいした劇場じゃないのに無理やり業界風ふかせちゃってるフシもあると思うんですけど。とは思っていても言えない。現に金を払ってチケットを入手してるただのオーディエンスの立場である。主宰者とは普段から飲み仲間で今日も招待券で来たが受付でよォか何か声かけたらすんなり入れちゃった人物とは格が違うんである。何の格だよォとごちてみたい気もするがその時点では何もできない。舞台の出来次第であるそれは。
 観終えて何だくだらねぇと思えた場合はこんな舞台の半分関係者じゃなくて本当に良かった。半分関係者のあんたらが役者と裏方を貸し合って作る今度の舞台もさぞかしくっだらないんでしょうな。最低の最低同志がねぇ、貧乏同志が無い金ムシリあってねぇか何か軽口飛ばしてダッシュで逃げ帰れば良いんである。が不思議とその機会がない。本当にくっだらないものを観せられた直後にはあの半分関係者達も姿をくらませているのだ。こんなヘボ劇団と親交があると思われてはまずいと判断してだろうか。が、一度そういうひどい舞台の終演直後に私のそばに居た半分関係者が客席から役者達を怒鳴りつけたことがあった。ひどいと感じたのは脚本や演技ではなく進行のもたつきや舞台美術がつまんないところでチャチで本当はその場面になきゃいけないセットをあることにして芝居してるのがモロバレだった点である。自分も舞台に立った経験があるだけについ同情してしまい、次がんばれや的な拍手を私はしてしまった。その私の目の前で半分関係者の男は舞台の出来のひどさにダメ出しをしている。事情が上手く飲み込めないがやっぱり私はただのオーディエンスということなんでしょうな。文句は俺が言うからお前はさっさと帰れと。後は反省会ですか。ストリップとサイレント上映会には反省会が無いのが嬉しい。反省は嫌です座長。