渡り鳥は案外まめに帰るんである

8月29日、新宿ニューアートへ。もうこの場にニューアートの観劇記を書くのは何十回目だろう。が、今回はいつもと気構えが違うというか。週刊現代に連載中の高橋源一郎のコラム『おじさんは白馬に乗って』を読むとニューアートの潜入ルポが血気盛んに記されていた。タカハシさんは57歳の今日にいたるまでストリップ劇場に入ったことがなかった、というつかみには4〜5年前の私がこの場に書いた文章を一人思い出した。
タカハシさん同様ストリップの世界を人並み外れて好色なおじさんのものと思い込んでいた私はあの日あの時タカハシさん同様に「感動した!」はずだ。が、いつの間にか回を重ねるごとに舞台以外でも飲み友でもないただいつもいる私ですらレギュラー選手たちに妙な義理を感じてしまっていて。引退までは観れたら観ようかと思っているベテラン勢が5〜6名もできると観る側も付き合い半分で忙しくなってくる。これがもっとエスカレートすると全国をまわる自分のお気に入りのダンサー数10名を私財を投げうって追いかけ続ける風まかせ親父の出来上がりである。そんな幸せっちゃ幸せなお父さんたちを劇場で何度も見かけた私はタカハシさんが今まさに魔城の思い扉の向こうへ消えていったかに思える。
さて本日のトップはかんなさんであった。劇団員風で汗っかきな体質のよう。勿論それが気に入っている風のファンもいる。もしかしたら本番前には多量の水分補給をしていてあの滝のような汗も持ち芸かとも。和服姿で日本刀を振りかざすキル・ビル風の演出は最近多い。三番手の豊田せりかさんのアンダーヘアのスタイルにキャリアを感じた。恥丘の上の恥毛を全体の半分位で丸く刈り込みヘアはヘア、パックはパックと観やすくカットするスタイル。これはある程度のレベルに届いたダンサーしかやらないというか許されてないような。相撲の断髪式のようなセレモニーがあって専門の美容師がカットするのかとも。そしてトリの草凪純さんのステージが終わると全員が日本テレビ24時間テレビのTシャツ姿でキャンペーン用のうちわまで持って勢ぞろい。募金箱こそ持っていなかったがこういう演出を頼まれもしないのに観せるということは。別に頼まれもしないが怒られもしないおおまかなラインではウチも日テレ系ですわといったアピールのような。そういえば草凪純がクビレの女王として人気上昇中の頃も何度か『スーパージョッキー』に出ていたような。24時間テレビもこうなるとニューアートのでも勝手にやったって怒られないかも。やりましょうよとタカハシさんさんに千点。