音楽は甲斐八郎が発明したんである

池袋北口にっかつにて「女美容師縄飼育」を観る。この劇場に来るのは十何年ぶりか。にっかつがロッポニカとなりそれまでピンク専門館だったのが若者向けのこじゃれたサブカル系映画館に変身した(そしてまたピンクに戻る)時期か。アレックス・コックス特集なんか観たような。まだピンクの客層と当時の「宝島」なぞをよんでる若者客とが半々で。もうピンク映画はかからないのにこの親父達は何故と首をかしげたが。結局親父一人一人の念が今もこの小屋を本来あるべき姿として現存させているよう。
 やはり客層は四十代から七十代の男性客が中心。どこのピンク映画館でもそうだが平日の昼間でもそこそこの入りで良かったような情けないような気持ちに。めずらしく女性客がいるなと気づく。タイトな黒のミニスカートにピンヒールをコツコツ鳴らして客席をくねくねと練り歩く姿はどう見てもコールガール。ピンク映画に出てくるようなあまりといえばあまりの売春婦ぶりだ。助平な親父が集まる場所にセールス展開中なのか。誰か手を上げて買いそうだが誰も買わない。後でロビーでその女性客を間近で見ると間寛平似のニューハーフであった。しかしそんな姿でセールス展開していられるということは、今現在ぼちぼち買いに来てもらっている訳で。中高年以降の己の性なぞ想像もつかないが多分試せる機会にはどんな相手とも試したがるような気も。残り玉が限られていると実感した後では何よニューハーフ面白いじゃないのなどと。ここに書いて始まる事ではないが歳はとりたくない。火の鳥よ来たれと。
 で、映画だが昨今ではロマンポルノ一本とごく最近制作されたピンクを三本一緒にして番組を組んでいるようだ。最近のピンクはあまり観たくないのだがロマンポルノ一本が私には魅力なのに気づいた。また通ってしまうかも。「女美容師縄飼育」には主演の麻吹淳子演ずる女美容師の弟子役に布施絵理が出ていた。まだ十代とも思える幼さ。お笑いタレントの影も形もなく松田聖子辺りを意識した真剣な演技が逆におかしい。麻吹淳子はポスト谷ナオミとしてイイ線行ったムチムチの肉体派女優。骨ばった顔が常にヒクヒクひきつっている。軽度の顔面神経痛か。サバイバルしてる女といった感。気の毒にと思いつつ久々にチンピク。が、81年の本作撮影時に十代半ばであっただろう麻吹淳子ももう中高年である。若い時に色気で売ってた分のメンテナンスも手がかかるだろう。旧作がこんにちでも私なぞによって実用化されているのに麻吹には一円も入らぬエレジーにお星様三つ。ギラギラしとるが。