明日のジョーを見ている思いである

  1月17日、新宿までぶらり出る。ぶらり出て新宿コマ劇場小林幸子新春特別公演を観に行きたかったのだが。去年のちょうど今頃に、ふいに応援したくなった演歌歌手、南かなこが出演しているのだ。所属事務所である幸子プロモーションの公演に、おそらくほんのちょい役で参加しているものと思われる。『ぴあ』の告知には南かなこの名前はなく、出演小林幸子/三浦浩一/高松しげお/伊藤つかさ/他とある。他かぁ。いや他だからこそ応援に行くべきかとも思うが。思うが企業抱えの貸切公演も多々あって客席はさほど寒々しくもなさそう。一万弱から三千円のチケット代は今の私には豪遊である。たまには豪遊もいいが今日の所は豪遊よりも習慣を選択。
 沖縄そばで腹ごしらえの後、花園神社を参拝して例のごとく新宿ニューアートへ。こちらも正月公演だった。タレント一人20分の持ち時間のソロダンスショーではなく、60分以上ものチームダンスショーであった。以前に読んだ田中小実昌のストリップに関するコラムで20分間を一人で踊りきることがどんなにしんどいかちょっとやってごらんなさい、という一行に共感したが今日の舞台はその三倍の運動量だ。段取りを覚えるだけでも一苦労だと思うが、それらをいつ稽古したのかといえば「劇場が閉まった夜の12時から明け方まで」だとか。夜中の3時から5時まで「走れ歌謡曲」のパーソナリティを務めて翌昼11時の新宿コマには出ているはずの南かなこ以上のハードスケジュールだ。そうした死に物狂いさがひしひしと伝わり、嫌でも背筋を伸ばして観劇してしまった。
 内容についても書きますまい。演者もガチンコ客席もガチンコでゆるい空気ほとんどなし。じゃあ助平なエンタメ性も皆無かというとそうでもない。まるで夢の遊民社のごとく舞台に出ていない演者の誰も楽屋で休んでなどいない。半裸のままで舞台装置を移動させたりミキサー室に駆け込んだりと大忙しである。で、私はといえば舞台上で全裸全開中のタレントには性的反応しないというよりできないのだが。
 が、舞台袖の暗がりでパンツ一丁で布テープを貼ったりはがしたりするその無防備な裸体には異常反応してしまった。同じ人物が今度はレザーブーツに薄絹一枚の姿で舞台に登場すると体内の血液は再び上昇する。なんとなくAV男優がAV女優に今度プライベートでどうよなどと耳ナメ中にささやく気持ちがわかったり。年末から一月下旬までもフル稼働の彼女達がプライベートタイムを楽しめるのはいつのことか。目が覚めたらもう夕方なんてまだ当分心臓に悪いはず。祈りを。