歴史的瞬間をぶち壊す時である

 来る6月30日、金曜日を丸一日空けておいた。その日、渋谷ユーロスペースにて細野劇場なるイヴェントが開かれ、入場整理券が当日正午より配布される為それを入手すべく。細野劇場とは音楽家細野晴臣が30年以上ものキャリアの中で音楽を担当した映画群のレイトショー企画のファイナルにあたるイヴェントだ。細野支配人による理想の映画音楽作品上映+トークとフライヤーにはある。
 つまり生細野が舞台に登場し、その夜の為だけに用意した懐かしの名画のコラージュを一気に観せるかバックに流すかしながらトークするというものだろうと思う。ユーロは広い方の小屋でも145席。ライブハウスよりもまだ小さな小さな劇場で、生細野が手作りのコラージュフイルム持参でほっこりトークとはかなり魅力では。魅力であるから夜9時からのレイトの整理券をその日の正午から配布するのだろう。
 けれど145席の何割かは関係者によろしくで既に確保されているようでも。どの位。100席位か。そんな御無体な。いずれにせよ結構な競争率になりそうなので、運良く入場できればなと思っているが。その日のお昼に細野劇場からあぶれたらどうしようか知らん。道頓堀劇場か、やはり。細野劇場からおあずけくらった日にゃあ。
 それはいいとして、この細野劇場にしてもきっかけは去年のハイドパークとあまり変らないのではないか。渋谷・道玄坂といえば「はっぴいえんど」時代の細野ファミリーの根城である。ハイドパーク同様に70年代からの同窓生の何人かが今も地域に密着したサブカル産業を手広くもしくは細々と展開中なのでは。そうした人物にとって日本のロックの始祖であり、考えてみたら30年来の旧友・細野晴臣の存在とはいかがなものか。
 いかがも何も良く言えば御頼み悪く言えば御利用しない手はないのだろう。ただ、50代後半というお互いの年齢を考えたときに、これが最後の御頼みになっても不思議ではない点がどうしようもなくネックであったり。仕事の話をしたのもあれが最後でしたよね、結局実現しませんでしたけどねアハハか何か後日関係者からこぼされた日にゃもうそのアハハが。アハハが変にボディブロー効いてしまうのが嫌で細野氏もつい引き受けてしまうのか知ら。
 けれど昔の好美シリーズも去年のHiS、ハイドパークときて今回の映画音楽特集上映とくれば後は何か知らん。後は勿論YMOと思わせておいて、メンバー3人揃えておいて、タキシードまで揃えておいて、これはYMOにあらずと。トリオ・ザ・テクノとして新宿コマの北島三郎公演に何の告知もなく半笑いでなだれ込む時こそ。