GIジョーによる糞尿責めである

12月16日、シネ・リーブル池袋にて17時25分の回、『GSワンダーランド』を観る。先月15日より公開されていた本作を遅ればせながら。客席には私の他に数えられる程度の中年層と若い女性客が。やはり『デトロイト・メタル・シティ』を超える大ヒットには届いていない様子。だが内容はGS好きにはたまらないいたれりつくせりの趣味性高き快作であった。
オープニングのライオンズのライブ風景になだれ込む場面展開の間合いのカッコ良さなどさながら日活アクションだが。その後も本当にそうした邦画の旧作を場末の小屋で観ているような脱力感がただよう本作の画面にはよく観ると薄茶気た処理が。処女作に生傷を加えて即席ビンテージ化を狙った本田隆一は本作もまた観客そっちのけで手込めに勿論その自己完結振りはある種の好きもの層にはエクスタシーではある。が、本当にいいんかなこんなんでとキャッチボールのできそうな客席を見回す。
デトロイト…』をカップルで楽しむ若者客は数知れずいても『GSワンダーランド』に駆けつける男女というのは若くてジェネレーションX世代じゃないかと。温水洋一率いるフレッシュ・フォー世代じゃないかと。どうもこの我々世代への本田監督の視線が絵に描いた負け犬と言いたげで。邦画界では今その辺りの諸先輩が目の上のタンコブなのかとも。いや監督としての手腕とサービス精神なら日本一だと思うのだが。新世紀もスタートを切った昨今では「日本一」レベルでは肩身が狭いのだろうかとも。
10月上旬にNHKラジオのオールディーズを各界有名人に選曲させる音楽番組に橋本淳が出演していた。青山学院時代を振り返って「青学はとてもハッピーな所でね」と懐かしそうに語っていたが。終戦直後に映画のようなエセアメリカンなキャンパス生活が実在したことが今思うと不思議であったそうだが私はイッセー尾形主演の映画『太陽』を連想していた。そして本作『GSワンダーランド』の趣味性の高さにも同様の解放区的なとてもハッピーな縄抜け振りを感じた。こうした好き勝手な「祭り」がごく一部の好きもの以外に気づかれもしないのはそれはそれで良いのではないか。
ザ・タイツメンではベース担当ケンタ役の浅利陽介って浅利慶太の息子かしら。プロモでは1人だけ大人びたインテリ家庭育ち風で。演歌歌手の森山愛子は森山良子と関係ないらしい。が、あると思い込んで追いかけそうになっていた私の中にとぐろを巻く半開きのブルジョワ志向に我ながらウンザリかとも。そう、もうウンザリである。人生40年ほぼホビー化。