貴女を卒業できるはずないんである

3月16日、東洋大学の学食へ。春休みなのかガラ空きで一店だけ営業していたイタリアンでトリ肉のソテーとおかず三品を。20年前とくらべればこれで五百円とは先進国と途上国の差だが。向いのテーブルを囲むガードマンたちに学生じゃないだろと問われないかと内心オドオド。
最近では外回りの営業マンらが大学の学食でヒマをつぶすのが流行ってるようでランキングチェックなども盛んだが一方そうした部外者を追放する向きもある。殺人事件だって起きてしまってはそれも仕方ないが。それでもOBのよしみで母校に住みついている若年層のホームレスって結構いるんじゃないかと。
私がもう10歳も若くて学内のサークルに今だ顔がきけばそれに近いことは多分やっているだろう。専門学校などではもっとえげつない難民生活を送る卒業生もいるかと思われる。何となしに長谷川和彦を思う。
半蔵門線で渋谷に。イメージフォーラムのピンク特集、今日は『濃厚不倫 とられた女』(04年 国映)。監督、女池充。主演、こなつ。結婚直前の元OLがフラリと寄ったイタ飯屋のマスターと何となく関係してしまい呆気なくバレてすべてを失う脱力メロドラマ。何となくデキちゃう2人にはあまり性的魅力ちゅか生命力すらなく、結婚ブチ壊された新郎と家庭ブチ壊されたマスターの嫁(を、林由美香が好演)の方がずっとギラギラしているような。自分の理想と目的持って強く生きてる皆様方にこの世界はわからないでしょう的な突き放しも感じられるが。
悪い人間ではないけれどややブレーキの弱い性癖の男女がある日何となく真っ当な社会からすべり落ちていくというのはロマンポルノの王道ではあるが。こなつ演じる元OLの普通といえばあまりにも普通な持ち味が監督の確信犯的チョイスかとも。馬の骨と結婚するつもりじゃないけど私が馬の骨だとしたらやっぱり失望するのかしらといった子供じみたイタズラから始まった不倫劇は次のように終わる。が、代わりにマスターの嫁の元恋人だった中年男が悪あがきを続けた後にあてつけのごとく頓死してしまう。関係あるよな無いよなところから犠牲者が出てしまった途端に映画はプッツリと終わる。
本特集のフライヤーでは夏服の林由美香が脚線美をチラつかせてポーズしている。この頃よかったよなか何か私もつい思ってしまう。が、本当は90年代以降のピンク映画はほとんど観ていないのだ。全部が全部名作のわけもないしくまなくチェックするには体力と金力が足りないからだが。評論家受けのいい作品だけ流しっ放しの有線テレビがあれば墓まで付き合いたいとも。