住めば都と強がりきれないんである

2月6日、休日であるが休日だからこそかお子様並に早くに目が覚めてしまい春先のようなぽかぽか陽気につられ外に出る。何か痴呆症の始まりかけた老人がとにもかくにも日光浴をしたがるような。子供と老人とのそれぞれ扱いにくい性質がミックスされてくる年代なのだろう。そりゃ分別盛りの中年女と思春期初めの子供らに囲まれてリャ居場所無いわなと女房子供も持たぬ私でもやんわり実感してみたり。
そんな私の言葉少なきお仲間が集まるスポットのひとつである近所の図書館に出向く。途中、路上生活者とおぼしき中高年男性とすれ違う。ジーンズメイトで売っているような若者向けの防寒ジャケットを着ていてそれがなかなかカッコイイ。自身でそうした店に出向いて購入したのかしらん。公園のクズカゴや駅の公衆便所に何かあったから拾って着て歩いているのか。そんな物が公園のクズカゴや駅の公衆便所にすっ転がっているのかといえば案外すっ転がっているのだ昨今では。
私もここ数年そうした場所で新品の化粧品、家電、衣類などを拾ったことがある。万引き品と思われるそうした品々をおそらくさして物欲もなく売り場から持ち去りすぐに飽きて放置したのだろう人々はどんな人々か。多分ごく普通の人々だろうと思う。多分ごく普通にふるまうことがまだできる薬物中毒者なのだろうとも思う。著名なハリウッド女優がスーパーマーケットでくだらない物ばかり万引きしまくりスキャンダルになったのも今は昔か。生理のピーク時に欲しくもない文房具やら洗濯バサミを万引きしたい衝動を抑えきれないという宝島時代のまついなつきの生活コラムを思い出した。電車の中でたまたま隣り合わせた人物のカバンの中に亭主の生首が入っていることは万に一つとしても安物のドラッグで軽くラリラリでも今は平静を装っている位は千に一つを割っているような。
厄介なのはそうした犯罪予備軍が危険区域にゴッタ返す仁義なき時代はまだまだ平和だったということ。あんな所行っちゃいけませんと言われるような危険区域のボーダーがあったから。割合清潔でどう見ても路上生活者といった感の利用者は少ない街の図書館にも痴漢イタズラについての「お知らせ」は告知してある。百貨店の中の書籍コーナーで立ち読み中にどうやってここまで足を運べたのかと思うあっとおどろく60代のヒッピーが隣に立っていたり。何をされるかわかんない危険区域というものは限定できにくい一方で何をしでかすかわかんない人物像というものも限定できにくいような。オッサンいいジャケ着てんだけど、ねぇ。